高校の頃、私の友人のM君は剣道部に所属していた。
冬休みの補修期間の休憩の合間に気分転換でよく学校内を歩き回ってたそうです。
ある日補修が終わって午後六時頃過ぎ、外は真っ暗。
いつものように学校内を歩いていて、体育館の隣の武道場の前に差し掛かったときです。
いつも閉まっている武道場の裏扉が開いていているのです。
あれ、なんで開いてるんだろう…?
補習期間では昼に部活が終わっているはずです。
顧問の先生でも残っているのか…。
何気なく中を覗くともちろん中は真っ暗です。
あれ? と思いながら道場の中に足を踏み入れました。
1階が柔道場になっていて、2階が剣道場になっている武道場でした。
2階の剣道場にあがり、足を踏み入れたとき……
道場の真ん中に人影が見えました。
そこには剣道の防具をすべて装着した(竹刀も持って構えてる)人が立っていたのです。
M君は 「あの…先生?」と声をかけました。
そして、その剣道具を装着した人がM君に気づいたと思うと、すごい勢いで迫ってきたのです。
突然の事に驚いたM君は、道場の中を逃げ回っていましたが、立てかけてあった竹刀を手に取ると、迫って来る剣道男?に向き直り、斬りかかったそうです。
ところがその剣道男、無茶苦茶腕が立つ相手だったらしく、レギュラーだったM君でもまるで押されっぱなしだったそうです。
また防具を付けてなかったので、肩や腕に剣道男の竹刀が当たった時にどうやって逃げよう、と考えてたそうです。
M君は相手の竹刀を受けながら出口を自分の背に来るような体制に持っていくと、竹刀を相手に投げつけ、その隙に階段を下りて武道場から転がり逃げたそうです。
武道場から振り返ると、薄暗い2階の窓からさっきの剣道男がじ…っと、M君のことを見下ろしていたそうです。
M君は我を忘れて全力で逃げて逃げて逃げまくったとの事です。
あれは単なる練習をやってる人だったのだろうか??
しかし後日部活仲間に聞いても、その時簡は学校にいなかったそうです。
顧問の先生も帰宅した後だったそうです。
今だに謎らしいです。
仲間も顧問の先生も笑って信じてくれなかったそうです。