師匠シリーズ 第60話 怪物 「起」
京介さんから聞いた話だ。 怖い夢を見ていた気がする。 薄っすらと目を開けて、シーツの白さにまた目を閉じる。 鳥の鳴き声が聞こえない。 息を吐いてから、ベッドから体を起こす。 静かな朝だ。 ...
洒落にならない怖い話・ゾッとする話・オカルト
京介さんから聞いた話だ。 怖い夢を見ていた気がする。 薄っすらと目を開けて、シーツの白さにまた目を閉じる。 鳥の鳴き声が聞こえない。 息を吐いてから、ベッドから体を起こす。 静かな朝だ。 ...
小学校2年生の教室で、図工の時間に『あなたの家族を描いてね』という課題が出た。 みんなお喋りをしながら色鉛筆で画用紙いっぱいに絵を描いた。 原っぱにお父さんとお母さんと女の子がニコニコ笑いながら並...
聞いた話である。 「面白い話を仕入れたよ」 師匠は声を顰めてそう言った。 僕のオカルト道の師匠だ。 面白い話、などというものは額面どおり受け取ってはならない。 「県境の町に、古い商家の跡...
大学1回生の春だった。 休日に僕は一人で街に出て、デパートで一人暮らしに必要なこまごまとしたものを買った。 レジを済ませてから、本屋にでも寄って帰ろうかなと思いつつトイレを探す。 天井から吊り下...
京介さんから聞いた話だ。 怖い夢を見ていた気がする。 枕元の目覚まし時計を止めて、思い出そうとする。 カーテンの隙間から射し込む朝の光が思考の邪魔だ。 もやもやした頭のまま硬い歯ブラシをくわえ...
人形にまつわる話をしよう。 大学2回生の春だった。 当時出入りしていた地元のオカルト系フォーラムの常連に、みかっちさんという女性がいた。 楽しいというか騒がしい人で、オフ会ではいつも中心にな...
大学1回生の秋だった。 午後の気だるい講義が終わって、ざわつく音のなかノートを鞄に収めていると、同級生である友人が声を掛けてきた。 「なあ、お前って、なんか怪談とか得意だったよな」 いきなりだっ...
大学1回生の秋だった。 その頃の僕は、以前から自分にあった霊感が、じわじわと染み出すようにその領域を広げていく感覚を、半ば畏れ、また半ばでは、身の震えるような妖しい快感を覚えていた。 霊感はより強...
大学1回生の冬。 朝っぱらからサークルの部室でコタツに入ったまま動けなくなり、俺は早々に今日の講義のサボタージュを決め込んでいた。 何人かが入れ替わり立ち代りコンビニのビニール袋を手に現れてはコタ...
お詫びと訂正。 これからお話を投下しようとする直前になって、2年ぶりくらいに『降霊実験』を読み返してみたところ、思わず自分の目を疑いました。 「芳」という字と「茅」という字を書き間違えているのです...
先日、ある店に入ろうとしたときに、自動ドアが開かないということがあった。 さっき出たばかりのドアなのに、戻ろうとすると反応がない。 苦笑して別のドアから回り込んで入った。 こういうときはえてして...
大学3回生のころ、俺はダメ学生街道をひたすら突き進んでいた。 2回生からすでに大学の講義に出なくなりつつあったのだが、3年目に入り、まったく大学に足を踏み入れなくなった。 なにせその春、同じバイト...
大学2回の冬。 昼下がりに自転車をこいで幼稚園の前を通りがかった時、見覚えのある後ろ姿が目に入った。 白のペンキで塗られた背の低い壁のそばに立って、向こう側をじっと見ている。 住んでいるアパート...
昨日から降っていた雨が朝がたに止み、道沿いにはキラキラと輝く水溜りがいくつもできていた。 大学2回生の春。 梅雨にはまだ少し早い。 大気の層を透過して、やわらかく降り注ぐ光。 軽い足どりで歩道...
俺は子供のころからわりと霊感が強い方で、いろいろと変な物を見ることが多かった。 大学に入り、俺以上に霊感の強い人に出会って、あれこれくっついて回っているうちに、以前にも増して不思議な体験をするように...