これは俺の友達Y君の話。一応実話らしい。
彼の家系は代々霊感とやらが強いらしい。
なぜか男だけ(理由は不明)。
父親も祖父も霊感が強く、見ちゃうらしいのよ。
で、Y君もやっぱりその口で、たまに怖いもの見ちゃう。
ファーストコンタクトは小学校の時プールで、飛び込み台にず~と立ってる首のない(頭部浮いてる)血まみれの男だったそうな。
祖父にその事を話すと、
「そういう時は南無阿弥陀仏と何回も念じるとよい」
と教えられ、変なもの見たときはそうすると消えたそうだ。
でもまあ、すげえ怖い思いはしないで高校2年を迎えた。
ここから。
ある夜、部活から帰って疲れ果て風呂にも入らずベットでうとうとしてた。
で、金縛り。金縛りは体験済みだったから、
「またかよー勘弁してくれよ~」
ぐらいに思った。
でもいつもより長めなんだ。
不安になりながらも、目動かして辺りを見渡すと、自分の足の先に少女の顔。
Y君をじーっと見てる。
今までに無い近さだったので本当怖かったらしい。
で、嫌なのに視線が固まって目そらせない。
そのうち、口がパクパク動いてるのに気が付いた。
どうも
「あ そ ん で」
と言っているらしい。
もう狂いそうになったが、南無阿弥陀仏をずっと唱えてた。
そうしたらそのうち消えたんだって。
でも、次の日からその少女は夜ごと出てくるようになった。
しかも日を追うごとに顔の方に近づいてきてる。
で、20日後ぐらいにはY君の肘くらいまで来てた。
で、パクパクしてる。
さすがに生きた心地がしなくなり、その日は心を込めて南無阿弥陀仏した。
とにかく必死に念じた。
成仏してください、と。
すると、今まで声は出さなかった少女が初めて声に出してしゃべった。
「 そんなの、もう、きかないよ 」