昔、20代の男性が住んでいたマンションで夜寝ている時によく観た夢。
夢の中で僕は自分の部屋に閉じ込められています。
現実とほぼ同じ部屋ですが窓とドアがそこには存在しないんです。
あと一つ現実と違った所があって壁の隅に小さな赤い文字で・・・
『羽衣龜蟲の湧き出る静寂の谷から紺碧の海色の猪の群れが走り抜け
る蜈蚣の紅い甲羅と乳色を混ぜたような見事な阿弥陀羽の黒蜻蛉達が
静寂の谷から蒼き栗の実を携え奔り抜ける金色の二十日鼠達の群れの
一匹一匹が濁った蒼炎宝石の様なバイオリンの弦を静寂の谷から運び
出す空色の蟹達がその馬頭の啄木鳥の両手に虎休みの蜜華をいっぱい
に摘み心地よい読書の宴を催して毒蚯蚓を陥れる姦計を労すのですが』
みたいな詩なのか小説なのか分らない意味不明な怪文章が羅列されているのです。
毎日の様に観たこの夢の怪文章の中に極たまにですが一つだけ青く光る文字がある場合があります。
その青い文字を見つけた時は文字を壁から抜き取って、手に持っている黄色い小箱に入れます。
部屋ではそれ以外の事は何も起こりません。
部屋の中では筋トレをしたり、プレステやったり、tvを観たり、携帯でメールしたり、漫画を読んだり、自慰をしたりして時間を潰します。
単なる夢だと思っていたのですが、ある日バイト帰りの帰宅途中に道端で妙な物を見つけた。
あの夢に出てきた黄色い小箱だった。
確かに似ていたのだ。
少々不気味に思ったが不思議な事もあるものだと思い小箱を拾い上げて怖いもの観たさもあって中身を確認した・・・
すると
!
男性は物凄い悲鳴を上げた。
活字判っていうのかな、その箱の中には判子とか書類製作に使う木製活字判がいくつも入っていた。
男性は、まさか本当に文字が入っているなんて思いもよらなかったからつい悲鳴を上げてしまったのだ。
そしての中に入っていた活字判がこれ。
「1」「に」「る」「と」「居」「死」「家」「日」
並び替えると「1日に家に居ると死」とも読める。
男性は気味が悪くなって次の月の1日はバイト先に泊まって家には帰らなかった。
その次の月も、そのまた次の月も・・・そしてとうとうその次の月の1日に事件は起こった。
2日の夜に家に帰ると家の中が荒らされていた。
箪笥を真っ先に調べたが、どうやら強盗の様で金目の物がゴッソリと持っていかれていた。
男性は「まあ、命が助かっただけでも幸いか」と思ってリビングに入る
とそこには・・・
包丁が10本近くテーブルの上に突き刺さっていた。
以上です。