四年くらい前に母が亡くなったんだけど、遺骨をいつまでも家の仏壇に置いてたんだ。
季節が冬で『雪がひどくて納骨が大変だから』とか色々理由付けされたけど俺はオトンがオカンの骨が遠くにいくのが嫌で渋ってるんだろうなって思ってたんだよ。
けどどっかで聞いたのか見たのか忘れたけど、遺骨っていつまでも置いたままにするとよくないって聞いてさ。
それが頭にあったせいか日に日に仏間(遺骨置いてる)から嫌な気配がするようになるし俺自身当時休職中で家にいる時間が誰よりも長いしで正直かなり参ってたんだよ。
まぁたぶん思い込みのせいだとは思ってたし、オカルトは信じるけど『生きてる人間に敵うものか』っていう思いもあったから家族にも強く『早く納骨しろ』 とかも言わなかったんだ。
けどある日家に一人いて真っ昼間から自室のベッドで横になって寝ようと思ってうつらうつらしていたら ベッドボードっていうのかな?
頭側にある背もたれみたいな奴から人の頭が覗き込んできたんだ。
ありがちだけど貞子みたいな長い髪の毛で、それがふぁさーって顔にかかってきてさ。
もう生まれて初めて叫び声あげて飛び上がったんだ。
で、次の瞬間また布団の中で横になってて『あ、今の夢か、夢だよな』って。
でも怖くてもう寝られないって家族が返ってくるまで起きていようと思って居間に戻ったらやっぱり仏間の方から嫌な感じがしてくるんだよ。
さっき見た夢(たぶん)の事もあるし、恐いけどちょっと様子見ようと思って覗いてみたら遺骨入れてる桐の箱、箱の上から風呂敷みたいなのでしっかり結んであった奴が解けてたのよ。
これも偶然だって思おうとしたんだけど、さすがにいつまでも納骨しないってのはオカンにも悪いし もしかしたら俺にオトンを説得するようにってメッセージ送ってきてるのかもしれんなって事で、その日起きた夢とか全部話して
『もう雪がどうとか言い訳してないでとっとと納骨しろ。
本当におかしな奴でもきてオカンの骨汚されたら嫌だろ!』
って説得した。
そっから急いで納骨して、そら以来変な気配もおかしな夢もみないっていう話。
なんかイマイチなオチで悪いけど本当に起きた話です。