お兄ちゃん遊ぼ

お兄ちゃん遊ぼ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

僕が高校2年生のとき、変な夢を1週間程見たことがあります。

僕には姉が一人いるだけで、弟や妹はいないんですが夢の中で女の子が「お兄ちゃん遊んで」と言いながら駆け寄ってきます。
これと言った特徴なんかはない普通の女の子でしたが、赤い着物を着ていたことだけは妙に覚えていました。(当たり前だけど)
僕は特になんの疑問も抱かなくて、普通に妹のように接していました。
とてもリアルな夢で、朝起きて身体が疲れているように感じたくらいです。
でも、学校に着く頃にはもう全く忘れていて、夜、また同じような夢を見て思い出す、みたいな感じでした。
でも、さすがに4日目くらいには、おかしいと感じ始めました。
で、5日目の夢の中で、僕はその女の子に「僕は君のお兄ちゃんじゃない!」
って言ったら、その子は俯いてどこかに歩いていきました。
夢に見る場所は、僕の家だったり、見たこともない家だったりしましたがその日は僕の家でした。
本当に変な夢で、僕は自分の部屋で夢から覚めるのを待ちました。

夢から覚めて、一番最初に母親にその夢のことを話しました。
すると、母親は真剣な顔つきになって「ついてきて」と言って階段下の収納まで僕を連れていって、古い人形を取り出しました。
赤い着物を着た女の子の人形でした。

母親は話してくれました。僕は何故か覚えていませんでしたが、僕には妹ができるはずだったこと。
その子は未熟児で生まれ、すぐに死んでしまったこと。
この人形はその子のために手作りした人形だと。
言われてみれば、母がしばらく家にいなかった記憶があるようなないような。

その日の夜、金縛りにあいました。
すぐに枕元にあの子が現れ、泣いていました。
全く恐怖がなかった、と言えば嘘になります。
でも、それよりも心から申し訳なく思って、必死で
「ごめんね。お兄ちゃんと遊ぼう」
と心の中で繰り返しました。

気が付くと朝。
その日は一日中妹になるはずだったその子のことが頭を離れませんでした。
そして夜。
夢の中にその子が現れ、「お兄ちゃん遊ぼ!」と。
ままごとをしたりして遊んだりしました。
その内、妹は寂しそうな顔になり、「ごめんね。ありがとう」と言って、どこかに行ってしまいました。

それ以来、妹は夢に出てきません。

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