雛人形の呪い

さて、今年のお雛祭りも無事終わったし、数年前に起こった祟り騒ぎでも投下してみる。

事の始まりは雛祭りも近いある夜の事。突然、近所に住む若い母親Aが訪ねてきた。彼女は開口一番
「お雛様貸してください」
何でも,義母にお雛様(と娘)の写メを送れと言われたらしい。冗談じゃない。でも、相手は玄関の中にいる。
「私」の雛人形を「他人」になんて貸し出せない。他をあたってくれとかなり冷たくあしらった。
するとAはたまたま玄関に飾ってあった古い雛を見て「じゃあ、コレをちょうだい!」
さらに冗談じゃない。そのお雛様は大正の逸品で、元持ち主さんに日参して礼を尽くして譲り受けた家宝だぞ!
お宅のはどうしたんですか、娘さんもう3歳位ですよね?と聞き返したら、初節句の時に義母からお雛代をもらっていたけど使い込んじゃって…結局ずるずる買ってなくて…だからお願いします、お人形集めててたくさん持ってるのなら、1セット位!

その家は、旦那さんが海外赴任・義父母はかなり遠方、Aさん両親は既に他界。要するに、監視の目が無いことをいい事に、好き放題していたらしい。で、それを察知したのか今日になって急に義母が「どんな雛人形か見せろ」と言ってきたそうだ。
あまりの自己中に、こっちも怒り心頭。この母親、決して生活に困っているのではない。
むしろ、しょっちゅう近所に子供預けて遊び歩いている困った人。やや乱暴に無理矢理玄関から押し出してお引取願った。

その翌日ぐらい。これは別の母親Bから聞いた話。(騒動のかなり後になってBから聞いた)
Aは公園で、私がいかにケチクサい行かず後家かを愚痴っていたらしい。
最初は私への個人攻撃から始まって、話題はだんだんと雛人形非難へと流れていった。
古くてかび臭い人形なんてこっちからお断り、とか祟りそうで嫌、とか。なんだか、Aが雛人形の悪口を言い始めた頃から公園には変な風が吹き始めたらしい。風がわざわざA達の周りで回転してゆくような…

B以外にも数人のお母さんたちがいたらしいけど、皆何となく妙な空気を感じてそわそわしだした。その時Aが
「あんなシミだらけの顔の雛人形、ブスすぎてウチのコには似あわないわ!」
言い放った。その瞬間、どこかで「キョンっ!」という大きな金属音がしたそうだ。その場にいたA以外全員がその音を聞き、子供たちも(Aの娘も含む)驚いて各母親に抱きついた。それで皆逃げるように帰宅。状況が理解できていなかったAもフラフラ帰っていったそうだ。

雛祭りも終わり、私の家もすっかりお雛様の片付けが終わったある日、事もあろうに高齢の尼さんが訪ねてきた。
これは誰だと目が点になっていたら、ものすごく丁寧に*Aの義祖母だが、孫が貴い方に大変な失礼をしたようなので、謝らせていただきたい。
というような事を言われた。貴い?私じゃないよな?と思いつつ「貴い方ってどなたの事ですか?まさかお雛様ですか?」
答えは案の定「お雛様です」。 片しちゃったから、出しなおすまでA宅で待っててくれととりあえずお引取願い、
小一時間後にお雛様2対を出し(両方親王飾りでよかったw)A宅に向かった。A宅には当然Aがいたんだけど…
Aの顔ははれ上がり、赤い斑が浮かんでいた。私を見て露骨に不機嫌そうな顔。ビックリしていると、奥から顔を出しているA娘も似たような状況なのに気がついた。A義祖母は何事も無いように奥の部屋から現われるとまだ固まっている私を促して、私の家へ。私の家で義祖母さんはお雛様の前にとても高価そうな和菓子と白酒を供え、よくわからないお経を30分以上あげてから帰っていった。
(このセットは後から母と美味しく頂きました。本当にものすごく美味しかったw)

後になってから知ったのは、A義祖母はいわゆる拝み屋さん。遠方にA義父母と共に暮らしていたんだけど、ある日突然「このままじゃひ孫まで取り殺される!」と叫んで駆けつけたそう。
翌年Aは旦那の帰国と共に旦那実家に引っ越していきましたけど…今頃どうしているのやら。

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