巨大な死体

その昔、藤原信通という人が常陸守として任国にいたときのことである。 任期の終わる年の四月ごろ、おそろしく風が吹いた嵐の夜、某郡の東西浜というところに死人が打ち寄せられた。 死人の身長およそ十五メー...

大家さん

東京の大学に合格し、父親と下宿を探しに行った。 父親も私も、慣れない東京での部屋探しに手間をかける気になれず、学生課に紹介された、大家さんが同じ建物に住む古びたアパートで即決した。 そこの大家...

ネックレス

今の彼女と付き合い始めたばかりの頃の話。 とある駅前で彼女と待ち合わせをしていたのだが、その日は時間より早く着いてしまった。 近くに喫煙所があったのでそこで煙草を吸っていると、すぐ近くで黒人男...

校舎裏の彼女

文章下手なので読みづらいと思いますがご勘弁のほどを。 僕が中学3年生の頃転校をしたんですが、その転校先の学校で酷いいじめを受けた。 「女みたいな顔だ」「チビ」と最初はそんな感じでからかわれてい...

名画座のチケット

「あのさ、ただであげるからこのチケット、要らないか」 映画マニアである父の友人は気さくな口調でそう笑い、俺の手にとある名画座のチケットを握らせた。 「え、いいんですか。何の映画?」 「あ...

コピー機

ある学校で年配の先生があまり使われていないコピー室で大量のプリントのコピーをしていた。 あまりに量が多く、その先生は学校に最後まで残ってしまった。 そんなとき、先生は持病の心臓発作で意識を失い...

外人の男の子

家の近所に小さい神社があって、昔…多分私が5歳くらい?のとき、よくその奥の林で外人の男の子と遊んでいた。 家から持ってきたおかしを交換して食べたり、2人だけでかくれんぼしたり。 金髪で目が青く...

堤防の女

夜釣りやってたんだけど普通4、5人はいる堤防で一人だった やったラッキー、仕掛けが横に流れても気にしなくていいと思ってご機嫌で釣ってたんだわ 満月の大潮で条件的に申し分なかったんだけどその時は...

海の龍

ダイバーは海で不思議な経験してるやつが多いんだ。 10年くらい前ベテランダイバーから聞いた不思議な話。 ちょっと長くなるかも そのダイバーはダイビング協会の幹部で、ずっと海で仕事してる人だっ...

借りたテント

これは今から数年前の話だ。 俺が友達と一緒に、キャンプをしていた時の話である。 キャンプと言っても、小さいテントを持って、近所の山で寝るだけの遊びの度合いが強いものだ。 簡潔に言うと、そのキ...

卒塔婆

地図だけを頼りに山へ入り込み、地図上、平らな地形の場所にテントを張る。 馬鹿馬鹿しいが、それはそれで面白い遊びだ。 それでも、見込み違いはある。 ガイドマップではなく、国土地理院発行の五万分...

灰色の影

知り合いの話。 夏休みに家族で、山へキャンプに行ったのだそうだ。 夜、ふと目を覚ますと父親がいない。 テントから顔を出すと、父親と灰色の影がぼそぼそと話をしていた。 彼女は父親がいるこ...

南極の怪物

親父がいつごろ南極へ行ったかを詳しく書くと結構限定されるから数年前って事にしておいてください。 それから親父の職業はこっちも詳しく書くと特定されるかもしれないから曖昧にしておくけど、まあ南極観測関係...

おいてけ…

本所七不思議のひとつに「おいてけ堀」というのがございます。 その堀で大きなフナが釣れますと、どこからともなく 「おいてけ…、おいてけ…」 と聞こえてまいります。 声を無視してフナを持ち...

大きな三毛猫

知り合いの話。 彼は山中にある小さな社の氏子をしている。 秋祭りに使う道具を、社務所の倉庫で探していた時のことだ。 何せ、最後に使ったのは一年も前、おまけに収めたのは自分ではないときてい...