ナナシ シリーズ<全話リスト>
[ナナシ 第1話]懺悔(始めに) [ナナシ 第2話]親友の話 [ナナシ 第3話]窓の向こう側 [ナナシ 第4話]恋煩い [ナナシ 第5話]きみのて [ナナシ 第6話]きみが呼び出したかっ...
洒落にならない怖い話・ゾッとする話・オカルト
[ナナシ 第1話]懺悔(始めに) [ナナシ 第2話]親友の話 [ナナシ 第3話]窓の向こう側 [ナナシ 第4話]恋煩い [ナナシ 第5話]きみのて [ナナシ 第6話]きみが呼び出したかっ...
あれから、あの日から随分、また時間が過ぎた今も。 彼の最後の言葉が、耳から離れない。 あいつは、最後の最後にすら、優しい。 僕の、親友。 もういいよ。しあわせになれ。 その言葉を...
吐息白く、指先の感覚が無くなるような寒い日のこと。 僕は職場からの帰り道を急いでいた。 残業が長引き、終電はとうになくなっており、車も持たない貧乏な一人暮らしの僕にはタクシーで帰るような余裕も...
ナナシの日記は、そこで終わっていた。 ぼたぼたと落ちる涙が白いノートに染みを作った。 「…この次の日ね、キョウスケ、車に撥ねられたんだ。」 レイジさんが言った。 「駅に向かう途...
5月17日 今日はレイちゃんがスピッツのCD買って来た。 スピッツはハルのすきな歌手だ。 よく歌ってた。 ハルは声ハスキーだからサビとか苦しそうだったけど。 おかげで俺もスピッツすきにな...
到着した白いマンションの5階が、その場所だった。 エレベーターで5階にあがり、503というプレートのついた部屋の鍵をレイジさんがあける。 フローリングの廊下にあがり、つきあたりのドアのまえに立...
レイジさんに促され、僕は霊園から少し歩いたところにある喫茶店に入った。 その間僕らはずっと無言だった。 なにを話していいのかわからなかったし、なにも話すことはない。 否、なにも話してはいけな...
親友がもうどこにも存在しないのだということを知ってから、一週間程過ぎた日曜日のこと。 僕はふたたび、彼が助けてくれた、そして彼が眠っているその場所を訪れていた。 あの夜からこの日まで、僕は自分がど...
その日、前日の夜のことを引きずったまま僕は学校に行った。 やっぱりナナシはいなくて、アキヤマさんは何事も無かったように教室にいた。 話し掛けてみたが、やはりいつもと変わらなくて昨日のことは全部夢か...
あれからどのくらいすぎただろうか。 その寒い日、無事に就職したことを報告する為に今は亡き親友の墓参りに行って来た。 その小さな墓前にはあいつの好きだった忽忘草の押し花が置かれていた。 「死ん...
物事には終りというものが必ずあって、それは突然に訪れるものだと知ったのは15の冬の終盤だった。 卒業を目前に控え、慌ただしく日々が過ぎる中、僕の親友は学校を休みがちになった。 以前は学校を休む事な...
車に揺られて数十分。 目的地に到着し、贈り物の本を片手にレイジさんの車を降りた。 冷たい風が髪を揺らす。 ああもう冬なんだなあと実感した。 「晴海君、先行ってて。水汲んでくる」 ...
気ままな学生生活も終わりに近付き、いつしか学校を卒業し、仲の良かったクラスメート達とも連絡を取り合ったのは最初だけ。 僕も進学先の場所に合わせて一人暮らしを始めたりと忙しかったこともあり、次第に誰と...
ごめんなさいごめんなさいってさ、お前よく謝るけど あやまらなくていいよ 忘れていいよ もういいよ 三年前。 親友が、そう言って笑う夢を初めて見たとき、僕は自分の浅ましさに泣いた。 ...
変わり始めたのはいつだっただろう。 終わりを予感したのはいつのことだったのだろう。 考えても仕方ないことを考えながら、あのころを思い出す。 外を見れば大粒の雨。 ああ、そうだ。...