地元秋田の知り合いの女の子の話。
その子は今年21才なんだけど、9才のとき、田舎のおじいちゃんが亡くなったそうで、葬式に行ったんだって。
葬式の日は、ばあちゃん家に泊まって、次の日の昼過ぎごろの帰り道での話。
その帰り道その女の子(以後Sちゃん)はずっと窓の外見てたんだけど、ふと前の方を見ると、遠くの田んぼで白いなにかが揺れているのが見えた。
Sちゃんは気になってずっと見てたんだけど、それはやっぱり何か分からなくて、お母さんに「あれ何?」って聞いてみた。両親もしばらくそれを見ていて、お父さんが
「カカシが陽炎で揺れて見えるんじゃないの?」
とか言ってたらしい。
Sちゃんとお母さんはずっとそれを見てたらしいんだけど、Sちゃんはそれが近付くにつれ、無性に怖くなり、泣き出したそうだ。
そしてお父さんに
「あれが怖いからこの道は嫌だ」
って駄々をこねたらしい。
両親は笑いながら
「大丈夫、カカシだよ。」
って言ってそのまま車を走らせていた。
Sちゃんは怖かったので座席につっぷして、白い揺れるものを見ないようにしてたんだけど、お母さんが
「いやだ・・・・何あれ・・・?」
って言ったので、気になってまた窓から外を覗いた。
さっきまですごく遠くにあった白いものは、だいぶ近くまで来ていて、結構はっきり見えたらしい。
Sちゃんはギャーと叫んで泣き出し、両親も得体の知れない何かが怖くなり急いで車を走らせたそうだ。
その白い何かは、みんなが言ってる通り、手足の長い人のようなものだったらしい。
それはやっぱりくねくね動いていたんだけど、なんかぶれているような感じで、そこにないような感覚、まるで幻のようだったと言っていた。
Sちゃんは、それからしばらくふさぎ込んだらしくて、心配したお母さんが田舎のばあちゃんに、白いものについて聞いてみたんだけど、おばあちゃん曰く、
「ちょうちんびかものう」
と言っていたそうだ。
それからSちゃんの家ではその白いものは「ちょうちんび」で決定していたらしい。
今でも思い出すとゾッとするって言ってた。
ちなみに気が狂った人はいない。