某県に地蔵山という山があります。
山と言っても塚のようなもので、本当に小さいものです。
その山にはいやな伝承がありまして、かつて江戸時代の初期に豪農が、金の力に物言わせて黄金の地蔵をつくり、塚に埋めたという黄金伝説があるのです。
しかし、この地蔵を掘り起こした者には豪農の祟りがあり、ことごとく死んでしまうと言います。
その埋めた場所を暗号で記した古文書がありまして、明治時代に地元の若者5人組が地蔵の発掘に挑んで、3人が発狂、1人が自殺、1人が行方不明なったこともあったそうです。
大正時代にも発掘をした人がいて、この人も原因不明の病気でうなされ、「地蔵がくる。地蔵がくる」とうわごとを言いながら亡くなっていきました。
そして昭和の頃、またまた成金がこの地蔵の発掘に挑みました。
今度の成金は強引で、この山ごと崩してしまったのです。
しかし、地蔵は出てこなかったのです。
おさまらない成金のおやじは、その土地に大型マンションを建設しはじめました。
地元では祟りがあるからやめろという声があったのですが、工事は押し進められました。
しかし悲劇はおこったのです。
現場の視察にきた成金親父は、コンクリートの打設工事を見学していました。
しかし、柱のコンクリート打設面をおさえていた型枠がはずれ、成金親父はコンクリートの下敷きになってしまったのです。
5分後、救出された親父は既に窒息死していました。
そしてその体はコンクリートが全身につき、まるで『地蔵』のようになっていたそうです。