小学校6年の時に担任の先生から聞いた話です。
本当にあった話だから、あんまり人に言わないで欲しい、
と先生は生徒に念を押していました。
大学の登山サークルのTとNは二人で登山をすることになりました。
山を登り始めた頃は天候も良かったのですが、しかし急に天候が変わって、風も激しくなってきました。
しかもそのうちNが転んで足を怪我してしまったんです。
Nがあまりにも痛がるので、Tは骨折かもなと思いつつ、仕方ないのでNをおぶって、そのまま下山方向で進んでいきました。
すると丁度向こうの方に山小屋がありました。
いいタイミングだと思い、TはNをおぶったまま山小屋に入っていきました。
中は至って普通の山小屋でしたが、山小屋にしては珍しく?便所がついていました。
Nをおぶったまま下山するのはかなり危険なことだし、Nがあまりにも痛がるので、とりあえずTはNを山小屋に寝かせて、下まで助けを一人で呼びに行く事になりました。
数時間してからTが助けを何人か引き連れて山小屋に戻ってきました。
でも中に入ってみるとNの姿がありません。
あれおかしいな、と探してみると、一人が便所に鍵がかかってる事に気が付きました。
「あれ、Nが中に入ってるのかな」
「おーい、N!開けろー」
と便所の戸を叩いても中からは何の反応もありません。
変だ、と思い、Tと何人かで力づくで戸をこじ開けてみると、、、
髪は真っ白になって逆立ち、目はむき出すくらいに見開いて、口は裂けるほどに大きく開き、両腕を挙げ、そのまま青白く硬直したまま倒れ死んでいるNがいました。
原因は未だ不明のままです。
ただ彼のその様子はまさに「恐怖」そのものを表していました。
怪我をして歩けない筈のNがどうして便所の中に入ることが出来たのか。
そしてTが助けを呼びに行ってる間にNは一体何を見てしまったのか。
想像をしようにもできません。