夏で思い出した話を投下
俺が通ってた小学校は休みでも夜でも校門や昇降口の鍵が開けっ放しだったんだ。
さすがに理科室とかの高価なものがある場所は鍵がかかってたんだけど、それ以外は自由に出入り出来た。
昔の話だから今はどうか知らないけど。
それで、夏になってそんな環境が用意されてるもんだから当然肝試ししようぜって話になった。
仲良し四人で何かありそうな場所回って、お化けとか見つけたら写真撮って皆に見せびらかすつもりだったんだ。
そんな訳で夜、といっても子供だからそこまで遅くない時間に四人で学校に行ったんだ。
詳しい事は覚えて無いけど、確か保健室と理科室はドアの窓から覗いたと思う。
それ以外は適当に回って、三階の角にあった音楽室が最後だった。
音楽室も鍵がかかってるはずだったから、ここもドアから覗くことになった。
ここまで何も無かったから俺達はもうすでに諦めムードで、カメラ係だった友達もカメラをしまってた。
でもとりあえずということでドアの窓から覗こうとすると、鍵がかかってるはずのドアが開いた。
スライド式だったから力をかけたら動くんだ。
これは幸いと俺達は中に入った。
このあとははっきり覚えてる。
ピアノが鳴り出す訳でもなく、音楽教師の幽霊がいるわけでもなく、まあ予想のついていた結果に俺達は帰る事にした。
でもその時、誰かが言ったんだ。
「バッハの目が光ってる」
俺は冗談だと思ったんだ。
だから普通に振り向いた。
そしたら本当に光ってたんだ。
バッハじゃなくてベートーベンだったけど、確かに目が赤く光ってた。
他の二人も見たようで、そのあとは皆無我夢中で逃げ出した。
誰かがいないとかいうことはなく、全員無事に家に帰った。
次の日、今度は昼間に四人で音楽室に行った。
実はベートーベンとかの絵と反対の壁には鏡が付いてたんだ。
ベートーベンの絵の方には落書きすらなかったから月か何かの光が反射したんだろう言うことで皆納得した。
でも俺はそのあと授業で音楽室に行く度にその仮説が怪しく思えてきた。
なぜなら鏡に月の光が反射したとして、その光が赤くなる理由がわからなかったからだ。
赤く光を反射しそうな物は音楽室のどこにも無かった。
それにあのとき俺達が見たベートーベン、よくよく思い出すと違うポーズをしていた気がするんだ。
手のひらをこっちに向けているような…………