素足の係員

素足の係員 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

俺がネズミランドで体験した出来事だ。
あれは中学生の頃で、修学旅行だった。
クラスで何人かのグループに分かれて、好きなアトラクションに乗ったり、色々喰ってたりした。
俺はホー○デットマンションに乗り「全然怖くネー」とか思ってたのよ。
それでホー○デットマンションから適当にだべりながら出てきた。
その時仲間のヤツが2人「トイレ行ってくる」とかいってトイレにいった。
俺ともう一人はマンションの前で待つことにした。
退屈になってあたりを見渡してるうちに変な女がいる事に気がついた。

多分客じゃなくて、ホー○デットマンションの係員だろう。
メイドの様な針子の様なそんな洋風な格好をしている。
黒髪は長めで、首をもたげてたせいもあったのか、顔は見えなかった。
肌は傍目からも分かるくらい不健康そうな白で、立ち方もどこか頼りなげだった。
少し不安定そうな角度で、微動だにしない。

俺は何故かその女が気になりずっと(数分くらい)みていた。

彼女の周りには何人か同じ格好をした係員がいて、園内の掃除をしている。
しかし彼女は微動だにせず、枯れ木みたいに立っている。

そこで俺はなにかがおかしい事に気づいた。
彼女は靴を履いてなく素足だったのだ。これはありえない事だ。
その事が分かると、「こいつ、何者だ?」みたいな感じで不気味になった。
そこで俺は隣にいた友達に「あそこに素足の係員がいるぜー」みたいな事をいった。
友達は不思議そうにいった。

「そんな人いないじゃん?」

俺は薄ら寒くなり友達の顔をみた。嘘をいっているようには見えない。
周りの係員も清掃を終えたのか、もう既に姿は見えない。
なのに彼女だけ、そこにいる。

俺は早く残りの友達がくるのを待った。
目が合えば絶対ロクなことにならない...。
待つこと数分で残りの友達が来た。俺はほっとして歩き出した。
その時後ろで「ぎしっ」って音がして、思わず振り向いた。

女の顔がすぐ俺の目の前にあった。
首を亀のように前に出し、俺の目の前に立っている。
眼は異様に開いていて、目の下にクマが見える。

なにより恐ろしかったのがその女の口は糸で縫われていた。

悲鳴を上げようとしたが、口が動かなかった。
気がついた時には俺は尻餅をついていた。
女はもういなかった。
はやしたてる友達の声も聞こえず、俺はただ震えるだけだった。

随分前の話だが、女の縫われた口と必死にむいた眼は未だに覚えている。
その女が幽霊なのか、なんなのかは知らないが、俺がネズミランドにいけない理由の最たるものだ。

もう一度あってしまうのではないか、そんな気がして

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