生き残った二人

生き残った二人 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

祖父から聞いた話です。

うちの祖父は、戦争中に所属していた部隊が壊滅して、生き残ったのは祖父と、もう一人○○軍曹だけだったそうだ。
しかし、祖父は負傷していて、足手惑いになるから置いていってくれと頼んでも、その軍曹は頑として聞かず、祖父を見捨てずに本隊まで連れて帰ってくれたそうだ。
(祖父の方が階級は下)
その軍曹は普段から特に親しかったわけでもないのにと、祖父は感謝していたそうです。

戦争が終わって暫くしてから、祖父はその恩人を訪ねてみたそうです。
それから二人の交友が深くなり、よく会うようになったんだそうです。

軍曹は、初めから助けるつもりなど毛頭なく、見捨てようとしていたのだが、なぜか見捨てることができなかった、と語ったそうです。
そしてたまたま家系の話になった時、驚くべきことがわかったそうです。

我が家の先祖は、戦国時代にあえなく没落してしまった小大名なんですが、その軍曹は、我が家の先祖に仕えていた家臣の子孫だったのです。
軍曹の先祖は、没落した我が家の先祖に、毎年米を送って援助していたんだそうです。

いつからか縁は切れてしまっていたのですが、何百年も経ってから、家臣の子孫が、主家の子孫を助けるという、単なる偶然かも知れませんが、なんとも不思議な話です。

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