誰もいない

誰もいない 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

京急大師線に乗っていた時のこと。
京急川崎から乗って川崎大師で降りる予定だったのね。
でも、座れたのと、平日の午前中で比較的車内が空いていたのとで、京急川崎を出発して割とすぐにウトウト寝てしまった。
そのまま寝過ごして終点の小島新田まで行ってしまった。
大師線て、終点の小島新田で折り返してまた京急川崎に向かうのね。

だから電車から降りないでそのまま車内にいたら、車掌さんにこの電車は回送になるから、次の電車に乗ってくださいと言われ、電車を降りてホームのベンチに座って待ってた。
スマホいじってたりして待ってたんだけど、なかなか次の電車が来ない。
いつもだと10~15分間隔くらいなんだけど、30分近くきてなかった。

電光掲示板にも、ちゃんと次の電車の時間が出ていて、もうその予定時刻を30分近く過ぎてる上に、遅延云々の記載やアナウンスなし。
さすがにおかしいと思い、駅員に聞きに行ったが、駅員室には誰もいなかった。
この時点では

「何か事故でもあったのか?」

ぐらいにしか考えていなかったけど、このまま駅で待ちぼうけも嫌だったので、歩いて川崎大師まで行くことにした(歩ける距離なので)。

小島新田の駅界隈って、もともとそんなに人通りの多い所ではないんだけど、何か不気味なくらい誰もいない。
産業道路まで出てきて、そこでさらにビックリ。
車が1台も通ってないの。
いつもならかなり交通量の多い道路なのに。
ちなみに、信号は普通に機能していた。
ここら辺からちょっと怖くなり始めた。

結局、小島新田から川崎大師まで歩いている間(30分くらいか)誰にも会わず、車も見かけなかった。
(コンビニとかは入ってないけど)
対面式の個人商店にも人がいなかった。
途中通った産業道路駅と東門前駅にも客も駅員もいないようだったし。
相変わらず車も通らない。
でもそれ以外はいたって普通だった。

信号も機能しているし、看板の文字なんかも同じ。
スマホも特に異常なしだった。
歩いている時に暇だったので、友達とラインしてたし。
とにかく不気味だったので、家に帰る前に川崎大師の本堂にお参りしていくことにした。
大師の参道にも誰もいない。
トントコ飴のお店も無人だった。
もうマジで怖くなっていたので、速足で本堂まで行って、祈るような気持ちでお参りしてきた。

ここからちょっと不思議なんだけど、お参りして、くるっと後ろに向き直ったら、いつも通りに人が大勢いた。
え?あれ?さっきまで誰もいなかったのに?
みたいな感じで驚いた。

その後は何事もなく、人も車もいる、いつも通りの風景。
そして歩いて無事に家に着きました。
お大師様に助けられたんだと思ってる。

どっかの世界に迷い込んだのか…?

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