オッサンの幽霊

オッサンの幽霊 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

数年前、地元での話。

俺の実家はちょっとした丘というか崖の上の住宅街にある。
で、その丘の中腹に広がる雑木林で中年サラリーマンが首を吊った。

それ以来、その界隈で中年のオッサンの幽霊が出ると噂されるようになった。
丘の上の住宅街に続く道は割りと広く、ついでに街灯の間隔も広い。
夜ともなれば真っ暗で薄気味悪い。

ある日、友人宅で遊んでいて遅くなり、午前2時過ぎに帰宅という事になった。
当然例の道を通らなきゃならない。
結構傾斜のキツイ坂をチャリでヒーヒー言いながら登ってると、突然パタパタという音が聞こえて急にペダルが軽くなった。
振り返ると、スーツを着た中年のオッサンが全くの無表情で、息も切らさず俺のチャリの荷台を掴んで押していた。

さすがに声を上げて、死に物狂いでチャリをぶっ飛ばしてオッサンを振り切り、さらに家の前も通り過ぎ、丘を超えてその向こうにある町のコンビニに入って立ち読みして朝が来るのを待った。
それ以来、俺は速攻で原チャリを買って、その道を通る時はマックスのスピードで通過する事にしている。

という体験談を友人にしたら、
「それホントに幽霊か?それがもし生身の人間だったらマトモじゃないぞ。
どういう意図があってソイツが夜中の2時に暗い道でそんな事をやったのかはわからんが、ともかく命があってよかったな」
と言われた。

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