大きなラジカセ

大きなラジカセ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これ聞かれたら毎回話してるんだけどさ。
小学生の頃、夜寝るときはいつも俺、弟、母ちゃんの3人で寝てた。
母ちゃんは弟がまだ幼いから寝かしつけるためにいるんだけど俺たちが寝た後は別の部屋で寝てたっぽい。

その子供部屋に使われてないかなり大きなラジカセ?が置いてあった。
カセットを入れる口が2つり音声機みたいにスイッチがいっぱいついてる一昔前ではかなり高級なラジカセ?だったらしい。
もちろんラジオも聞けるのだが俺が生まれてから一度もそのラジカセが使われてるのは見たことがなかった。
コンセントも巻かれててホコリもかぶってて、俺も別に興味がなかったので置物と化していた。

そんなある日の夜

夜中に何か眩しくて目を覚ますと顔に青白い光が当たってきた。
何だろうと思って目をやると母ちゃんラジオの前で正座していた。
横顔しか見えなかったが母ちゃんは無表情でじっとラジオを見ていてラジオも、初めて動いてるのを見たが、青白い光を発し、各メーターも左右に揺れていて、ボソボソと何か話している、おそらくラジオだろうが声が聞こえた。
その光景が子ども心にもわかるくらい異常な光景だったので心臓がとまりそうになったのだが、ラジオが動いてることに気づいて、コンセントを見てみると、なんと普段と同じぐるぐる巻きにされてゴムでまとめられ、ラジオの上に置かれたままだった。

どう考えても異常な状況で母ちゃんも顔を青白く照らされたままじっと動かない。
怖くなってこのまま寝たフリをしようと思いゆっくりと寝返りをうって、さらに驚いた。
横で寝てた弟がこちらをじっと見てたのだ。
いつから目を覚ましてたのか判らないが、急に目が合ったのでまたも心臓がとまりそうになった。
すぐに弟も異常だということに気づいたのは弟がこちらをじっと見つめたまま瞬きもせず、無表情であったこと、そして何より、俺と弟の間にあったお母ちゃんの布団のほうに弟が移動していたことであった。

俺はあまりにも怖くなって布団を頭からかぶり目を瞑った。
汗も大量にでてきて震えながらはやく寝て意識をなくしたいと思ったが、母ちゃんと弟が布団をあけたらどうしようとか、そういう怖い考えが次々と頭に浮かんできた… 
子どもだったこともあるのだろう、そうこうしているうちにいつのまにか俺は寝てしまったらしく朝目を覚ますと部屋はいつもの光景だった。
弟はいつもの弟の布団で寝ていて母ちゃんはすでに起きていて飯の支度をしていた。
風邪をひくといつも怖い夢を見る、今回もそれだろうきっと夢だったんだと自分に言い聞かせていつものように起床して学校にいく準備をした。
弟も起きてきて3人で朝の食事をしている最中、まだやはり昨夜の出来事が気になって、

「昨日夜あのラジカセ動いてたねw」

と冗談っぽくいってみた。
当然何を言っている、そんな訳ないでしょと返されるのを期待していたのだが

「うん聞いてたからね」

母ちゃんが自然にそう答えた、しかも

「ねえ?」

と母ちゃんが弟にきくと弟も「うん」と頷いた。

俺はあまりにもショックで昨夜のことをもう一度思い出したりして頭がオーバーヒートしそうになって
「…そうなんだw」
と答えるので精一杯だった。
そのあと俺はさっさと飯を食って逃げるようにして学校に行った。

今思い出しても異常な体験だったがその後は何も変哲のない日常だったので俺も気にしなくなった。
でも俺が今までで体験した唯一の怖い話。

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