ある神社にまつわる噂話

ある神社にまつわる噂話 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは、うちの近所にある神社にまつわる噂話。
その噂話の内容はこうだ。

/ここから/

お賽銭箱にお金を入れて、神社の周りを3週する。
その後、神社にいる蚊に3箇所刺される。
刺された箇所の周囲を指で3週なぞる。

「幸せになりたい」と3回言った後、頭を3回下げる。

※但し、お賽銭は30円で、実行する時間は3時から4時までの間。

/ここまで/

上記を実行すると、『全ての物事が思い通りになり、残りの人生が幸せすぎて自殺するほど楽しくなる』という。

こんな噂話が、俺が中学生の時に都市伝説のような感じで伝わっていた。
たぶん先輩たちも、この噂話を後輩に伝えていっているのだろう。
なぜなら、ここの卒業生で先生になるための研修に来ていた人も、その噂話を知っていたからだ。

でも、誰もやる人なんていなかったと思う。
手順が面倒な上、それに誰も信じていないから。
だが、俺はその神社の真横に家があったので、やろうと思えばすぐにでも実行できる状況だった。

そんな時、夏休みの宿題で『日記を書く』というものが出された。
高校生なのに日記ですか・・・と思ったが、頭の悪い学校だったからか、先生も馬鹿ならこれくらいで精一杯だろうと思ったのだろう。
確かに精一杯だったが、家でゲームばかりやっていたので日記を書くようなことがなかったこともあり、「隣にある、あの神社の噂を確かめて日記に書いてやろう」と思った。

そうして実際にやってみた。
当然ながら、やっている間は「俺って馬鹿だな(笑)」と思っていたが。
おかげで日記も書けたので、その日はそのまま寝ることに。

次の日、昼頃に玄関のチャイムで起きた。
誰かと思えば、宅配便だった。
お中元か何かだろうと思えば、珍しく俺宛ての届き物。
何だろうと思いながら開けてみると、かなり前に応募した雑誌の懸賞の当選品だった。

商品券10万円分。

普段は懸賞なんて当たったことがなかったから、外出している家族らに電話をして喜んだ。
もしかして昨日の神社の?まさかねぇ・・・。
そんな感じで、まだあの噂話は信じていなかった。
それから1時間半くらいが経った頃、家の電話が鳴った。
誰かと思えば、同じクラスの親しい女子だ。
クラスの奴が家に電話してくることなんてなかったから、まさか誰か水死でもしたんじゃないかと焦ったが、「ちょっと学校まで来てくれ」との事だった。
学校は家から近かったこともあり、自転車で行ってみると、そのクラスメイトの女子以外にも2人の女子がいる。
そしてクラスメイトの親しい女子が、「あの子、あんたのことが好きみたいなんだけど付き合ってあげたら?」と言ってくる。
告白されるどころか、彼女なんて絶対できないと思っていた俺に告白?
しかもありえないことに、普段から「あの子いいなあ」と思っていた隣のクラスの女子だ。
俺は「OK」の返事を出した後、すぐに家に帰って嬉しくて泣いた。
あまりにも嬉しすぎて、あの神社のことはすっかり忘れていた。

夕方くらいになり、学校でよく話すゲーム友達から電話があった。
その友達は、この夏に高校デビューしてイケテる男になろうと決心したらしい。
それで、まずはゲームを部屋から無くしたいと言っていた。
でも売るのも勿体ない。
だから俺に預かっといてくれないか?と言ってきた。
特に断る理由もないのでOKすると、次の日にゲーム機本体と有り得ないほどのゲームソフトを持ってきた。
こいつ大丈夫か?と思ったが、それがほぼ自分の物になると考えたら笑いが止まらなくなった。

この後も、立て続けに良い事が起こった。
例えば、母が趣味の絵でコンクールで金賞をとり、機嫌が良くて欲しかった高い自転車を買ってくれた。
他にも、隣の家のおっちゃんがウナギを網で捕れば、余るほど捕れたからということで、お裾分けで大量のウナギをくれた、等・・・。
驚くことに、この幸運は今も続いている。
神社の噂話のおかげ、という秘密は誰にも話していない。
どうせ、この噂話は同じ学校の出身ならみんなが知っている。
話すとすれば、それが真実なのかどうか?だ。
もし、これを見た同じ学校の出身だった人なら、冒頭で書いた内容で気づくはずだ。

あの噂話は本当だから是非やってみてほしい。
はっきり言って、こんな馬鹿みたいなことで人の人生が左右されるのかと思うと・・・。



<解説>
噂話は本当とはつまり
『全ての物事が思い通りになり、残りの人生が幸せすぎて自殺するほど楽しくなる』

そして最後は以下で終わる
「はっきり言って、こんな馬鹿みたいなことで人の人生が左右されるのかと思うと・・・。」

と、言うことは「幸せすぎて自殺したくなる」というところまでが本当ということ…。

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