浮気をしたのが彼女にバレて2週間。
ずっと連絡の無かった彼女が、やっと部屋にあげてくれた。
でもお互い気まずくて、一言も口を利けないまま、時間だけが過ぎていく。
僕はその空気に耐えられなくなって、トイレに逃げ込んだ。
ふと、脇を見ると、トイレットペーパーの端には赤いペンで『和也へ』と書いてあった。
なんだろう。
ドキドキしながら紙を引き出すと、そこには彼女からのメッセージが書き込まれていた。
メッセージは何行にも渡っていた。
僕は紙を引っ張り出して、噛みしめるように読んだ。
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由美より
あなたは私を裏切った それは事実
でももうすべてリセットしていいと思うの
あなたと過ごした宝物のような日々
それが私にとって大切だと気づいたから
なにもかもぶち壊してしまうこと
許されないことだもんね
あなたが浮気していたことは
全部忘れてしまえるわ あの娘と
あなたとの関係もこれで帳消しってこと
にしてあげる お互いつらかったよね 私と
あなたは十分に苦しんだからこれから楽
しんじゃおうよ 一緒にね
和也へ
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涙が溢れてきた。
今、このトイレの扉の外には、由美が待っている気配がする。
早くここから出て、彼女を抱きしめてあげよう。
<解説>
トイレットペーパーに書かれている、というのがポイント。
彼女からのメッセージを、紙を引き出しながら読んでいるということは…
文章を『下から読む』のが正しい。
扉の向こうには彼女が待っているが、男がトイレから出れば恐らくは…