残像のようなもの

霊感の強い友人いわく「霊は生前の記憶を繰り返すだけの残像のようなもの」なのだそうだ。 とある踏み切りに、いつも中年のサラリーマン風の男が立っている。 焦点の定まっていない目と生気を感じない表情...

鳴り止まない電話

不思議なことってあるんですねぇ。 GWをずらして少し観光客が減った頃に会社の保養所がある箱根の温泉に行ったんですよ。 昔、別荘として使っていた親会社社長が経営危機でうちの会社に手渡したらしいんです...

鍋パーティー

先日友人Aと電話していたとき、友人が『どう思う?』と聞いてきた話です。 ちょっとにわかには信じられないのですが…… でも聞かされたときはさすがに怖かったです。 Aの家の近くを流れる川には...

髪の毛の感覚

小学校低学年くらいのときの話 その頃団地に住んでいて、俺の部屋は四畳半だったんだけど、そこに布団を敷いて一人でいつも寝ていた。 その日も普通に布団に入って寝たんだけど、珍しく夜中に目が覚めてし...

八百屋の前の空き地

子供のころ母に連れられて近所の八百屋まで行った。 母が買い物しているあいだ暇なので八百屋の前にある空き地で待ってたんだけど不思議な立て看板がたってた。 そんなものはいつもはないんだよ、その日だ...

山の女神様

今の年代の人に、狩りをした事のある人は少ないでしょう。 昔、私は祖父に連れられて、狸を捕る為に数度、山にトラバサミを仕掛けに行った事があります。 山にも色々な約束事があります。 うろ覚えです...

[ナナシ 第20話]独白3

あれからどのくらいすぎただろうか。 その寒い日、無事に就職したことを報告する為に今は亡き親友の墓参りに行って来た。 その小さな墓前にはあいつの好きだった忽忘草の押し花が置かれていた。 「死ん...