2つの顔

これは、当事者の俺自身は洒落にならないくらい怖いと感じている話。 俺は介護施設で働いているが、1ヶ月ほど前に精神疾患と診断されているお婆さんが入所してきた。 お婆さんと言ってもまだ60代後半で...

くずは

もうかなり昔の話なんだけど、俺の家は昔、珍しく狐を飼ってたんだ。 家はかなり田舎で、近くに野生動物がたくさん住んでた。 んである日、じいちゃんが狐の子供を拾ってきた。 どうやら親が死んで傍に...

呪いの連鎖

寒さで凍える夜・・・午前零時過ぎ・・・新宿歌舞伎町のスタンドバー。 私は仲の良いH刑事に、「何かいいネタはないか」と取材中だった。 当時、監修を任されていたTBS連続ドラマ『私、味方です(館ひ...

師匠シリーズ 第97話 未 本編5

「高橋永熾は軍事的侵攻のさいに、以前の領土で信仰していた八幡神社をこの地にも勧請してきます。 これは他の戦国武将にも往々にしてあったことです。 そうして勧請された若宮を祀る社、『若宮神社』と名づけ...

師匠シリーズ 第96話 未 本編4

それから僕らは二人で温泉旅館『田中屋』を皮切りに、その近くにあった他の温泉をいくつかハシゴした。 どの温泉も入浴のみの客でもOKだった。 入浴料を払って汗を流し、新しい服に着替えてから旅館の人をつ...

師匠シリーズ 第95話 未 本編3

目が覚めたのは朝の九時過ぎだった。 まだ頭が重く、肌触りの良い布団から出るのは億劫だったがなんとか気合を入れて起き上がった。三時間ほど寝ていたらしい。 広い部屋の真ん中に布団が一組だけ敷いてあるの...

師匠シリーズ 第94話 未 本編2

『とかの』に帰り着いたとき、腕時計を見ると午後四時半を回っていた。 旅館の玄関から中へ向かって楓が「ただいま」と声を張り上げる。 少しして女将がフロントの奥から姿を表した。 「どうでしたか」 ...

師匠シリーズ 第93話 未 本編1

師匠から聞いた話だ。 大学一回生の冬。僕は北へ向かう電車に乗っていた。 十二月二十四日。クリスマスイブのことだ。 零細興信所である小川調査事務所に持ち込まれた奇妙な依頼を引き受けるために、バ...

イボの花

母方の伯父が昔してくれた話なんだけど。 イボの花ってのがあるらしい。 体に出来たイボにこう、花が咲くみたいにパカって裂け目ができることを言うそうだ。 昔は、急にできたイボに花が咲いたら、近く...

病弱な妹

俺の友人の話投下します。仲間内で怖い話してるときに聞いた。 心霊系の話じゃないけど、俺は心底ぞっとさせられた話。 俺の友人のAには少し病弱な妹さんがいるそうです。 そのため数年前に某病院に入...

師匠シリーズ 第92話 食べる

ウニです。次のお話は2010年の夏コミで同人誌に寄稿したものです。 すでに前から売り切れていたことと、1年が経過したことから、ネット上でも発表することにしました。 なお、先に某所に投稿していますが...

見てたでしょ

大学生の男は古いアパートで一人暮らしをしていた。 男の部屋の壁には、小さな穴が開いており、そこから隣の部屋の様子がのぞき見ることができた。 隣の入居者は若い女性。 女性はのぞき穴の存在に気...

呪われたテープ

昔は、テレビ局も今みたいにじゃんじゃん予算が使えるわけじゃなくてさ。 ビデオテープもよく使いまわしてたらしいんだよ。特に、テープをいっぱい使うドキュメンタリーとかだと。 だけど、一本、使い...

師匠シリーズ 第91話 花

大学二回生の春だった。 その日は土曜の朝から友人の家に集まり、学生らしく麻雀を打っていた。 最初は調子の良かった俺も、ノーマークだった男に国士無双の直撃を受けたあたりから雲行きが怪しくなり、半チャ...

前の住民が残したモノ

以前住んでたアパートに、当時酔っ払って深夜帰りついた。 すると、狭い玄関に女物のサンダルが揃えて置いてあった。まったく身に覚えが無い。 手にとって良く見ると、何か海岸に打ち上げられたようなボロボロ...