真っ暗で寒くて何も無いところ

真っ暗で寒くて何も無いところ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私が子供の頃からの付き合いだった後輩のAが亡くなって、既に5年が経ち、私も落ち着いてきたので、もうそろそろ、この話をしても良いかな・・・と思い今に至ります。

当時、後輩のAは、これもまた私の後輩であるB子と同棲していました。
2人はしょっちゅう些細な事で喧嘩をしては共通する知り合いである私に交互に電話をかけてきて愚痴るのが常でした。

これは、その時にB子から聞いた話です・・・。

Aが亡くなる1カ月程前に、Aは仕事が終わって、いつもなら帰宅している時間になっても帰ってこない日があったそうです。
何も連絡が無く、いつまで経っても帰ってこないので、心配したB子は何回かAの携帯に連絡を入れたそうですが、電源が入っておらず連絡がつかない状態だったという事でした。
次の日はAの仕事が休みだった事もあり、仕事の帰りに誰かに会い、飲みにでも行ったのだろう・・と思いB子は、そう気にする事もなく1人で晩御飯を食べ、寝てしまったそうです。

しかし、次の日の朝になってもAは帰宅せず連絡も無く、携帯の電源も入っておらず、B子は外出もせずにAの帰りを待っていたそうです。

その日の夜になってAは帰宅したそうですが、着ていたスーツはシワだらけでヨレヨレ、髪はボサボサの状態、しかも目を真っ赤に血走らせて凄く怒って帰ってきたそうです。
B子が「心配してたんだよ。何処にいたの?」と聞いたところ

「俺はなぁ、ずーっと閉じ込められていたんだよ!」
「はぁ?何処に?」
「真っ暗で寒くて何も無いところにだよ!」
「誰に閉じ込められたの?」
「俺の知っているヤツらに・・・」
「知っているヤツらって誰?」
「・・・・・」

この会話の後、Aは黙ってしまい何も話そうとしなかったそうです。

私の見たところ明るく元気にしていたAでしたが、この話を聞いた1カ月程後に彼は自ら命を絶ってしまいました・・・。

その後、私は思いました。
AがB子に話た「真っ暗で寒くて何も無いところ・・・」というのは自殺してしまったAの魂が行くところではないのかと。
それからAをその場所に閉じ込めた「俺の知っているやつら」とは、彼より先に亡くなった彼の祖父母や父親だったのではなかったのかと・・・。
だとしたら、彼より先に亡くなった身内が自殺したら、こんなところに行くのだから後悔するぞ・・と事前に彼に警告したように思えてなりません。

この話は本当にあった話です。
ですから、自殺する事を考えている人がいたら、絶対ヤメた方がいいです。
後で必ず後悔しますから・・・。

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