昨年の夏、俺は友達と一緒にドライブに行った。
そのうち肝試しに行こうか、という話になり地元にあるスキー場へと向かった。
夏のスキー場には誰もおらず怖いだろう、と考えてのことだった。
山道をしばらく走り目当てのスキー場へとたどり着いた俺たちはまず車を停めるべくパーキングへと入った。
俺はそこである遊びを思いついた。
車のライトを落として暗闇の中を走り回る、という遊びを。
暗闇といっても月明かりが多少あったし、他には一台も車が無かったので大丈夫だろうと思っていた。
真夜中にライト無しで走るのは本当に危なくてスリルがあった。
俺があんまり調子に乗ってスピードを出すものだから友達がいい加減にしろ!と怒り出した。
仕方なくライトをつけて前を見た瞬間、俺たちは目を疑った。
ライトの光の中に人の姿が浮かび上がったからだ。
それも一人でなくたくさん、何十人も。
そして彼らは一斉に顔をこちらへと向けた。
正直言ってその時はただ逃げるだけで精一杯だったから彼らがどんな格好をしていたのかまでは記憶に無い。
でも、一つ確かなことがある。
こちらへと向けられた顔、
それは
人の顔じゃなかった。