小学五年生の頃の話。
その頃は学校ではこっくりさんやキューピットさんが流行っていて、放課後になると誰かが必ずやっていた。
その日もいつもの様に放課後に女子3人がこっくりさんをやっていた。
俺とAとBはそれを下らない話をしながらなんとなく見ていた。
まぁ普通にこっくりさんは降りてきたようで、色々聞いてキャーキャー言っていた。
最初は楽しそうに…と言うのも変だが、普通にやっていた女子たちだったが、何か様子がおかしい。
俺とAとBは会話を止め、女子たちの所に寄ってみると…
「こっくりさん、こっくりさん、お帰り下さい…」
スーッと十円玉が動く…
「いいえ」
どうやらこっくりさんが帰ってくれないらしい。
何度やっても駄目なようだ、
「なんで…?」
「もうやだよ!」
「おかえりください…」
女子たちは泣きながら発狂寸前だった。
するとおもむろにAが口を開いた。
「お前らはこっくりさんに対する歓迎の気持ちが足りなかったんだ!」
と言い出し、歓迎の歌と称して突然歌いだした。
「こっくりさぁあ~ん!
こっくぅーりさん、こっくぅーりさん
こくぅーりこくぅーり、こっくーりさん!
こっこっここっこっくぅ~りさん!」
俺とBは絶句した。
発狂寸前だった女子たちも絶句してAを見ていた。
Aが歌い終わると、十円玉が突然激しく動きだした。
シャッ!シャッ!シャッ!シャッ!シャッ!
「も」「う」「こ」「な」「い」
それからその教室にこっくりさんが降りてくる事はなかった。
そう、Aは凄まじい音痴だったのだ…
翌日からAのあだ名は孔雀王になった。