結構昔の話。
俺の父方の祖母は三階建ての日本家屋に祖父と二人で住んでて、盆とか正月には家族で帰省してた。
そんで、五年前の盆に帰省した時に祖父が俺の親父になんか縁側で話してるのを俺が偶然聞いたんだよ。
祖父は親父に真面目な相談してたみたいだったんだけど、その時は詳しく聞き取れなかった。
結局その帰省中と、暫く(四ヶ月くらいかな)は何にも無かったんだけど、急に祖母から電話が掛かってきて
「祖父が死んだ」
と知らされた。
その時の状況がまた妙で、三階にある五畳ぐらいの部屋のど真ん中でまんま土下座のような体制で死んでたらしい。
死因は心筋梗塞だったんだけど、祖父も祖母も生活に使ってるのは一階と二階だけだったんだよね。
「何で三階の部屋のど真ん中にいたんだ」
って皆不思議がってた。
ただその後、葬式の通夜の時に祖母に親父が何かをこそこそ話してるのを俺がまた見つけたんだ。
その瞬間に
「あー、前の盆にじいちゃんが親父になんか相談してたな、関係あるんだろうな」
と直感して、深く考えずに祖母に
「ねえ何話してたの」
って聞いたんだ。
そしたら祖母が
「何でもない、知らんでいい知らんでいい」
って明らかに何か隠してるような答え方をした。
「ばあちゃんが教えてくんなかったんだから親父も無理かな」
と思ってその場は諦めた。
でも、その二ヵ月後に祖母も死んでしまった。
祖父と全く同じ場所で土下座の体勢で脳溢血。
流石に親戚も
「なんかおかしい」
と思ったらしく、長男だった俺の親父に
「何か知らんか」
って聞いたりしてた。
親父はその時は
「知らん」
と言ってたんだけど、祖母の葬式が終わった後に俺も含めて親戚の男を全員集めて話し始めた。
その話によると、祖父母には親父の前に一人、娘を生んでいたらしい。
ただ、娘が七歳の時に高所から落ちて頭を打って死んでしまった。
祖父母は
「娘が死んだのはお前らの過失だ」
とか親戚に言われまくって、逃げる様に引っ越してくだんの日本家屋に入居したそうだ。
それからは長年時に何も無かったが、丁度俺が親父と祖父が話してるのを見た盆の頃から、祖父母は三階に上がると
「とうちゃん、かあちゃん、高いとこ怖い。一緒にいて」
って声が聞こえてたらしい。
(祖父が親父に相談してたのはその話だった)
その話を聞いた親戚の男の人たちは皆
「声が聞こえた三階で土下座って…」
みたいな空気だった。
それから親父の取り仕切りで坊さん連れてきて三階で供養?みたいな儀式をして、家は売った。
それ以来親戚や俺にも変な出来事は無し。
ただ、三階で供養してた真っ最中に部屋の外の階段で足音がしたのは皆聞いてビビってた。