会社の同僚とオカルト話をしていたら、一人が、自分の嫁さんが幽霊と間違われたとか話し出した。
新婚当時、鎌倉に住んでいたが、奥さんが大船から一人でタクシーに乗って自宅に帰ろうとしたら、自宅近くで運ちゃんが急に怯えだして
「お、お客さん降りてください。お代はいりませんから」
と言い出した。
彼の家は高台でその坂の下だったので、夜遅いし危ないからと言っても、嫌がって無理やり降ろされてしまったという。
白い服を着ていたからかなとか笑いながら話す同僚。
こっちも冗談半分に
「長い髪だったんじゃない?」
「雨の日でぐっしょり濡れてたとか」
と言ったが、よく晴れていたとのこと。
へえ~、なんて気の抜けた話をして、話題を変えようとしたら、その同僚が
「そういえば、家にタクシー呼んでも断られた。というか、自宅に帰る時2回に1回は乗車拒否された」
と言い出し場の雰囲気が一変した。
鎌倉と言えばヤバイ場所が多発するところ。
タクシーが行きたがらないと言えば地元の有名スポットの可能性も大。
新婚当時始めて借りた場所はモノレールのS駅から10分ほどの大きな公園の隣。
この公園が昼なお鬱蒼と茂る山林で道に迷う人も続出する場所。
そこの高台に借りていたと言う。
「へえ~、見晴らしいいの?」
「5階からだと遠くまで見えるよ」
「ああ、マンション?でも鎌倉で珍しくね」
「いや戸建の5階建てというか洋館?」
「はあ、下宿?何それ」
「いやただの貸家」
「って、5階建て全部ってありえないっしょ、二人で住むんでしょ」
「安くてお値打ちだったから」
貸家は結構するし、まして5階建て。
しかもフィンランド式のサウナと屋上まであるとのこと。
シェアでもしなくちゃありえん。
「いったい賃料いくらよ」
「13万円」
絶句する一同。
いや、それ、普通借りないよ。
値段ありえないから。
もうそれだけでヤバスギ。
「それヤバイでしょ」
「でも不動産屋が人気物件と言ってたし」
確かに変わった人ではある。
何でも子供の時から転勤が多くて墓の側に住んでいて、墓の近くが落ち着くとか言っている人だ。
「でも、墓は無い」
と力説。
タクシーの話は引越しすぐに飲み会で深夜奥さんが帰る際、まだ場所がはっきり分からないので誘導していって、
目的地が高台の洋館と分かったら、運ちゃんの目の色が変わって降ろされたそうな。
同僚は自宅で奥さんが物騒な目に逢ったと怒られたらしい。
そして、奥さんは入居3日目には気味悪いから引っ越したいと言い出したそうだ。
しかし、5階建てとは凄いというと、正確には螺旋階段状に一部屋ずつ回るように作られていて
5部屋みたいなものだから、大して大きくないと弁明する。
でも、それって風水的に非常にまずいんじゃないかとオレは思った。
「その家、ヤバイことあったでしょ。ラップ現象とか」
「ない」
「ほんとに何もない?」
「そういえば、真夏なのにクーラーがいらないほど涼しかった」
ゲと思ったね。
真冬でもワイシャツ1枚で仕事するほど暑がりの人が
真夏にクーラーかけないって、それはヤバスギの家でしょう。
というか危ない家は真夏も冷気で寒いと言う。
ま、そんなこんなで何事も無くすごしたある夜同僚が奥さんに言ったそうだ
「見てごらんきれいだよ」
で、外を見ると人魂が家を取り囲むようにふわり、ふわりと・・・・
勘弁してよ、笑ってそんな話しないで。
で、奥さん半狂乱になって
結局3ヶ月でその家を出たと残念そうに話す同僚だった。
引っ越す時、近所に聞いたら
(と言っても高台にはその家と離れたところにある大家の2軒しかないのでかなり離れた場所だろう)、
その家のあるところは昔の処刑場だったらしい、とのことだった。
そして、地元のタクシーはその家に行くことを嫌うらしい。
まあ、空き家だったはずの幽霊屋敷に深夜若い女が行こうとしたらタクシー逃げ出すよなとみんなで大笑い。
上司がぽつりと
「でも人魂って、土葬の奴だから100年前じゃもう出ないんじゃないの」
そう、人体の燐が燃えるはずだから最近の死体じゃないと・・・、
しかし、墓地はないらしい。
で、結論は、その敷地に最近殺された奴が埋められて、それが人魂になったんじゃないの、という落ちとなった。
しかし、何か祟りはないのだろうか。
そこでハッとした。
その同僚、異様についていないのである。
大病したり、去年は通勤電車で人と軽くぶつかって、
小指を複雑骨折し、完治に1年かかった。
やっとこの間完治して1週間せずに今度は階段から落ちて小指を折った腕の肘を破砕骨折し、足にひびが入ってまた入院したのである。
今もギブスをして通勤している。
それどころか、彼の隣の人は原因不明のぎっくり腰で1週間欠勤したりといいことがない。
お祓いでもするべきと忠告したのだが・・・
今後何が起こるか怖い今日この頃。