深夜に歩き回る姉

深夜に歩き回る姉 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私が中学生の時の話。

朝起きて、居間へ行くと小学生の弟から
「姉ちゃん、昨日の夜中居間へ降りてきて、なにやってたの?」
と唐突に聞かれた。

全く覚えがなかったので
「へっ?昨日の夜なんて、居間に降りてないけど?」
と答えた。

「僕昨日の夜中、姉ちゃんを見たんだよね。」
と、弟。
私は訳がわからなかったので、弟からよく話を聞くことにした。

弟は、当時居間の隣にある仏間で、両親ともう一人の弟と4人で寝ていたのだが、その日の夜中に突然目が覚めて眠れなくなったらしい。
(ひまだなー・・・・)
と、うつぶせになって、寝ながら隣の居間をぼーっと見ていると階段をトントンと降りてくる足音が聞こえてきた。
(あ、姉ちゃんだ。水でも飲みにきたのかな?)
弟はそう思って眺めていると、カチャっと音がして、廊下から居間へのドアを開けて私が入ってくるのが見えた。

弟が見た『私』は、なんだか異常なほどに落ち込んでいて、「はぁー・・・」とため息ばかりついていたらしい。
そして、弟がじっと凝視する中で『私』は居間の電気もつけないで真っ暗闇の中でうろうろ歩き回り、ソファーへと腰を下ろした。
その時、古いソファーが出すスプリングの音までちゃんと聞こえたらしい。
暫くソファーにじっと座っていた『私』は、弟の寝ている目の前まで来て彼の数センチ前に体育座りみたいに座り込み、また「はぁー」とため息をついた。

弟はその『私』に、なにか異様なものを感じ怖くなって、声をかけなかったそうだ。
その後、『私』は立ち上がるとそのまま廊下へ出て行き、「トントン」という音と共に、2階へと上がっていった。
弟はすぐに眠くなって、気がついたら朝になっていた・・・ということが事の全容だった。

弟は「本当に、昨日下にこなかったの?」
ともう一回聞いてきたが、私は
「うん。行ってない。」
と即答した。
弟は不思議そうに
「じゃあ、あれはなんだったんだろう・・・」
と言った。

私はその日、2階にあがるとすぐに眠ってしまったから、そんなことはしていないと断言できた。
でも・・・・・少し引っかかるところがあった。

何故なら、その日見た夢が住んでいる家の周りをうろつく・・・という内容だったから。
弟が見た『私』は本当に寝ぼけた私だったのか、夢から出てきた私だったのか。
それともそれとはまた別の『何か』だったのか・・・・。
いまでも謎のまま。

ちなみに幸いにも、夢遊病の気は現在・過去共に皆無です。

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