二つの眼球

二つの眼球 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

これは私が学生の頃、部活の合宿で先輩に聞いたものです。
「あたしさぁ、すごい怖い夢見たんだぁ」と前置きをし、話し始めました。

Sさんがどこかの川辺を歩いていると、一人のおばあさんがうずくまっていました。
話しかけると、おばあさんはゆっくりと振り向きました。その顔を見て、Sさんは驚きました。
おばあさんは、何と眼球(目)が無いのです。

「私の目玉が無いんだよ…」

と呟きました。
Sさんは驚いて上手く言葉が発せられませんでした。
するとおばあさんはまたゆっくりと言いました。

「一緒に探してくれるかい?」

Sさんは懸命に探しました。
見つけられなかったら…と考えると怖くなったからです。
すると…おばあさんはこんな事を言いました。

「もし、私の目玉が見つからなかったら…お前さんの両足を売ってもいいかい?」

と。
Sさんは怖くて怖くて仕方無かったそうです。
震える手が何かに触れました。

二つの…眼球でした。

「そこで目が覚めてさぁ」

私は背筋がぞくりとするのが分かりました。
私達はその話を聞き終わると、ホッと息をつきました。
すると先輩は言いました。

「この話ね、覚えてない方がいいよ…」

と。
そう言われると余計頭にこびりついてしまうようで、私は眠れませんでした。何とか頭からあの話を消し、
眠りました。ところが、私もあの夢を見てしまったのです!
夢から抜け出したいと思っても無駄でした。ですが、何とか同じように
眼球を見つけ、目が覚めました。

話はこれで終わりじゃなかったんです。
私の友人のD君が、足を引き千切られたようにして、その場に眠っていたのが
発見されたんです。D君は、五体不満足になってしまいましたが、元気です。
そのD君からはこう聞きました。
「あの夢を見たんだけど…眼球を探してる途中でR(友人)に起こされたんだ。
 だから足を契られたのかな…」と。
この話は当時新聞にも載りました。地方の方は知ってるかも知れませんね。

この話は、早く忘れてくださいね。

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