家はすぐそこだから

家はすぐそこだから 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

死ぬ程怖いというか考えても不思議で、今でも気になる話なんですが。

7年くらい前の深夜22時頃に友人と一緒に塾から帰る途中、自分達の歩いている後ろの方で交通事故が起きたんです。
私たちは前を向いていたために事故の瞬間は見てないんですけど、ガシャン!という音を聴いて振り返ると、バイクと乗用車の追突事故でした。
バイクは狭い小道に曲がろうとし、乗用車は直進しようとして互いにぶつかったと思います。

バイクの人が投げ出されてそのまま動かないので私たちや近所の人、乗用車の人は駆け寄ったんですが、おい、大丈夫?と乗用車の方が声をかけるとスクっと立ち上がって、ヘルメットを取って

「なんでもないです。大丈夫です。」

とこたえて、倒れたバイクをそのままにして狭い道を歩いて立ち去ろうとしていました。

「いや、一応警察も呼ぶし、救急車も呼ぶから」

と、乗用車の方が呼び戻そうとしても、バイクの人は

「家はすぐそこだからちょっと両親を呼んでくる」

と言って、そのまま歩いて行ってしまいました。

私たちはそのまま帰宅したんですが、それから3ヵ月後くらい。
その事故現場近くのコンビニで友達とお菓子を食べていたら中年男性が近寄ってきて、

「君たちはこの地元の子?」

と尋ねられました。

「はい、そうです」

と答えると、実は数ヶ月前にここで息子が事故に合ったまま帰ってこないので探しているとの事でした。
その中年男性の息子の写真を見ると、あの事故でバイクに乗っていた青年でした。

私は、

「あの時バイクの人はそのまま歩いて家に戻っていきましたよ?」

とこたえると、

「うん、それはこの近所の人にも聞いた。でもうちの家は○○県(飛行機に乗らないと行けない)なんだよ。」

と言われました。
男性は、この子に間違いないよね?と何回も尋ねてきました。
髪形と顔の印象が一緒なので間違いないと答えると、

「そうか、なにかまた思い出したら連絡ください。」

と言ってその場を去っていきました。

事故直後、記憶や意識が巻き戻ったり混乱したりするんだとは思いますが、彼はその後どうなったのか今でも気になります。

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