その日は20年前の・・・

その日は20年前の・・・ 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

AとBはとても仲のいいクラスメートで二人はいつも一緒だった。
互いの家が近くにあるので、一緒に登下校していた。
学校の休み時間も二人で遊んだし放課後にも二人で遊んだ。

学校の近くに沼があり、その沼は子供にとっては格好の遊び場であった。
二人は今日は沼で遊ぶ事にした。
しばらく遊んでいたうち急に

「うああ!!」

Bがバランスを崩して沼に落ちてしまったのだ。
(自分一人、しかも子供の力だけでは無理だ・・!)
そう思ったAは「誰か呼んでくる!!」と言って走って助けを呼びに行ったが

「助けて、助けて」
「Aくんたすけて!!たすけ・・」
「助けて、助けて」

という声を背に全速力で走るA。

Aがやっとの思いで助けを呼んできた時、Bは浮かんでいた。
間に合わなかったのだ。

もしかしたら自分が彼を殺したんではないか、自分があの時即座に手を伸ばしたら助けられたのかもしれない。
その件以来、Aは沼に近づく事はなくなった。
近づけなかった。
沼を避ける事で罪の意識から逃れられ、あの事件の事を忘れられるのではないかと思ったからだ。

そして、20年後。
Aは地元で就職し、結婚して子供がいた。
その日は一人息子Cの誕生日だった。
Aは息子のために、ケーキとプレゼントを買い家路を急いた。
すると看板が・・。

「通行禁止」

朝会社に行くはしていなかった工事をしていなかったのに・・
(この道を使えないという事は・・あの道を通るしかないな・・)
Aのあの記憶が決して消えたわけではない。避けつづけた20年間。
しかし通らなくては帰れない、しかも今日は息子の誕生日だ。
早く帰らなくては・・。

意を決して沼の横を通った、その時

「助けて、助けて」

Aは沼の方を見ないようにし、全速力で走った。
息を切らしながら家に帰ると妻が彼を出迎えてくれた。
が、肝心のCの姿が見えない。
妻に「Cは?」

「沼に遊びに行ったわよ、あの道通ってきたんでしょ?Cいなかった?」

その日は20年前のBの命日だった。

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