島根県浜田市には賽の河原がある。
そこは親に先立ってしまった子供たちが地獄の鬼に石を積まされる場所なのだ。
そこでは簡単に幽霊を見る方法がある。
そこには供養のために積み上げられた石があるが、それを崩してしまえばいいのだ。
ある時、一人の暴走族がそれを聞き遊び半分でやって来た。
彼は一晩そこで過ごせるか、を仲間と賭けており、石を崩すのを見届けた後仲間は帰っていった。
夜中、彼はテントの中で金縛りにあった。
そして子供の泣く声が聞こえてきた。
「おんおんおんおん」と。
しかし、彼は持ち前の根性で恐怖に耐えた。
次第に泣き声もしなくなった。
翌朝、彼は目を覚まして外に出た。
昨日の出来事は夢のように思われた。
どっちにしろ、掛け金は俺のものだ。とほくそえんだ。
彼がテントを片付けていると仲間がやって来た。
「おい!何だよこれは!!」
彼は今まで気づかなかったものを見てしまう。
それはテントの周りにつけられた小さな、いくつもの足跡だった。
「何だよこれ…」
彼がつぶやくと
「うあわああ」
と仲間が叫んだ。
なんと昨日崩したはずの石が全く同じに積み上げられていた。