ガキの頃、家族でよく地元の有名な山(国立公園)へ毎年春あたりにピクニックに行っていたんだが、ある年だけ山の頂上近くの広場まで足を運んだ時があった。
理由はいつもと違う景色で弁当でも食べようじゃないかって母がいいだしたってところ。
その広場は神社があってすごく寂しい場所だった記憶がある。
何故かすごく肌寒くてヒンヤリした空気だった。
親父は気乗りがしないみたいで黙りこけって酒を飲んでいた。
落ち着きのなかった俺は暇で暇で仕方なく、弟とそこらへんを探索して遊んでいた。
ふと神社の裏に獣道があるのを発見して、行ってみることに。
しばらく歩いていると後方からかすかに鈴の音が鳴っていることに気が付く。
なんだろねって弟と話していたら急に鈴の音が鳴りやんだ。
さらに少しあるくと、ちょっとした広場があって大きな木が一本そびえたっていた。
何にもねーなぁって事で帰ろうとした時、弟が「ぅわっ」と小声で叫んだ。
何だよって弟に聞くと小さな声であそこ見てって言うんだ。
弟が言う場所をよく見てみると、おじいさん?みたいな人が木の影からずっとこっち見てるの。
心臓止まるかと思ったね。思わず悪いこともしてないのに、すみませんって言ってしまった。
でも、反応なし。無表情だから怖くて早足でその場を去った。
親の所まで戻ると、親父がいい感じに酔っていたが急に青ざめて
「ここはヤバイ・・・。帰るぞ。早く仕度しろ」
って言い出した。
何でだろって思ったけど気分的に俺も帰りたかった。
その後、何もなかったが未だにあの時親父が何を感じたかわからない。
そしてピクニックもその年で最後となった。
今でも弟とたま~に会うとこの話をして酒を飲み交わすな。