母の実家のある地域の話
私の実家は前は日本海すぐ後ろは大山という非常にへんぴな場所にある。
そこには昔から変わった風習がある。
年に一度(特定を避けるべく日時は明かしません)、部落民全員が日没前に公民館に集まり、その日は夜明けまでそこで過ごすというものなのですが、ちょっと奇妙なんです。
公民館は儀式当日には窓や換気穴等が徹底的に目張りされ、本当に一切の覗き穴が無くなります。
そして、部落民は日没前に部落外に出て一晩過ごすか、日没前に公民館に入り一晩過ごすか選択します。
公民館の中ではみんなでご飯を食べたり、トランプをしたりと楽しく過ごすのですが、泣き声は厳禁とされます。
ですから赤子は参加できません。
小学生の私は父から、その日だけは何があっても絶対に泣くなと厳しく言われました。
また、窓に触ろうものなら気が狂ったように怒鳴られます。
そして夜が明けた頃(中から外は見えないため8時までは待つ)に部落長が一人で外に行き、一時間くらいすると戻ってきて、外に出ることが全ての人に許可されます。
出ていく時の部落長は子供でもわかるほど緊張していて、顔面蒼白で、帰ってきた部落長は倒れ込むように疲れ切っています。
私はもう10年以上、その日には実家に戻っていないため、経験はしていませんが今も続いています。
公民館の外では一体何が起きているのかはいまだに分かりません。
それを知った者はいずれ部落長を経験せねばならないからです。
儀式当日の部落長の異常な狼狽振りを知っているため、私の父も兄も、何が起きているのかを知ろうとはしません。無論、私もです。
書き込みをした者です。
徒に恐怖を煽りたくないので、少し付け加えます。
私は高校生まで儀式に参加していたので、大人になるにつれて、色々と儀式について考えるようになったのですが、多分、公民館の外で何かがあるってわけではないと思います。
祟りなり何かがあって、その経緯を知る部落長も知らない部落民も頭では非科学的だとわかっていても歴史の重みに圧倒されて儀式続けているのだと思います。
帰って来るなり失神した部落長は高校生でしたから、何があったわけではなく、何かあるかもしれないという極度の緊張で失神したのだと思います。
平然と事務的に儀式を進める部落長もいました。
ですが、非科学的儀式だと分かっていても、儀式の日の夜に部落に入れるかと言われれば、私はやはり入れません。
小さい頃に埋め込まれた儀式の対象となる何かへの恐怖は意識の下にあるからだと思います。
人間を凌駕する何かへの恐怖があることで、人間は自らの行動を抑制出来ると考えられ、そのために儀式が生み出されたのではないかと考えています。