公衆電話

公衆電話 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

高校生の時の話

授業で出された課題が終わらずに、その日は放課後にクラスメイト数人と居残りをしていた。

課題よりも友達と雑談してる方に集中してて、気が付いたら17時前。
17時からバイトが入っていたので慌てて校舎を飛び出して帰ろうとしたが、今から飛んで帰ってバイトにギリギリ間に合うかどうかの所。
無断で遅刻するのは申し訳ないので、事前にバイト先に連絡を入れようと、校内に設置してある公衆電話にまず向かった。
(まだあんまり携帯が普及してない時代w)

校内には公衆電話が3つある
。職員室前と、売店前。そして校舎の隣にある体育館の1階。
迷わず一番近い体育館の公衆電話へダッシュ!

バイト先は親戚が経営する飲食店。
親戚宅の番号はバッチリ覚えてるので手帳も見ずにダイヤルをした。

プルルルル…ガチャ

自分「もしもし、○○さん(親戚の名前)のお宅ですか?」
相手「?…いえ、違いますが」
自分「あれ?すみません…」

相手は見ず知らずのお婆ちゃんの声。
あせって間違い電話をしてしまった。
恥ずかしさを抑えつつ再度ダイヤルトライ。

…プープープー

今度は何だか繋がらなくなった。話し中みたい。
何かおかしいな、と思い今度は手帳を出し、親戚の 番号をしっかり確認しながらダイヤルを試みる。

しかし何度かダイヤルしても、ずっと話し中。
飲食店を経営している親戚の家がずっと話し中なのは変だ。

「この電話機が壊れているのかな?」

さすがに変に思っていると、通りすがった友達に声を掛けられた。

友達「さっきから何処に電話してるの??」
自分「バイト先なんだけど…。この電話壊れてるみたいで繋がらないんだ。最近これ(電話機)使った?」
友達「いや、壊れてるなんて聞いた事無いよ」

確かに、まだ携帯があんまり普及してない時期だったので校内の公衆電話はよく利用されていた。
壊れているならそれなりの噂は耳に入るはず。
結局その日は友達の携帯を借りて親戚の家に連絡をした。
ついさっきまで話し中だったのに、あっさりと繋がった。

それから半年位経ったある日。

いつかのように放課後友達と居残りをしていたら、いつのまにか時間は17時前。
バイト行かなきゃ!! これまたいつかのように、慌てて校舎を飛び出した。
そして一旦バイト先に連絡を入れようと、あの体育館1階の公衆電話へ走った。
そしてまた慌ててダイヤル。

…プープープー

話し中で繋がらない。
そのとき半年前のことを思い出した。

あの時も電話は繋がらなかった。
しかし、この半年間、やはり電話機が壊れているなんて話しは聞いた事が無かったし、何人かこの電話機を使っている人を見ている。

自分があせって番号を間違えてるんだ、と思った。
別の公衆電話に移れば良かったのだろうが、絶対ここで電話をかけてやる!と、変な意地が出てきている。
落ち着いて、深呼吸をして再度ダイヤルをする。

プルルルル…プルルル…

(カカッターーーー(・∀・)ーーーーー!!!)

自分、勝利を確信!!

プルルル…ガチャ

自分「もしもし、○○さん(親戚の名前)のお宅ですか?」
相手「いえ、違います。株式会社△△ですが」
自分「…??? あ、すみません間違えました…」

また間違えた。
番号は手帳を見て確認しながらプッシュしてるはずなのに。

…ていうか間違えた先が前回のお婆ちゃんではない。
さっきのは、どこかの会社の若い男性だった。

変だ。手帳の番号が間違っているなら、同じ所へ掛かるはず。

この時点であきらめれば良いものを、変な意地があるので引くに引けない。
その後何度かダイヤルした。
が、何故かその後ずっと電話は話し中で繋がらない。

5~6回掛け直したただろうか。
その電話は不意に繋がった。

プルルルル…ガチャ

!!

自分「もしもし、○○さん(親戚の名前)のお宅ですか?」
相手「…はぁ?」
自分(やばい、また間違えた…)

相手は中年の男性の声。
親戚の叔父さんの声に似ているがおそらく違う。
もう一度確認してみた。

自分「○○さん(親戚の名前)のお宅ではないですか?」

す る と、

相手「…はぁ??うちは焼き場ですよぉ?誰か亡くなったんですかぁ?」
自分「!?!?」

どうやら私の掛けた電話はどこかの焼き場へ繋がってしまったらしい。
恐ろしくなってそのまま電話を切り、逃げるようにその場を後にした。

帰り道にふと、「あの電話は、悪戯好きの叔父さんが冗談やったのかもしれない」という思いがよぎった。
バイト先に着いてすぐ、今日電話がずっと話し中ではなかったか、叔父さんが自分からの電話を取って冗談を言ってなかったかを伯母さんに聞いてみた。
(叔父さんに聞くと、また冗談を言われるかもしれないし、伯母さんは嘘をつかないので信用できる。)

伯母さんはキョトンとして、

「その時間はもう店の厨房に居たから電話はしてないし、今日は一度も誰からも電話なんてかかってきてないよ。」

と教えてくれた。

ともかく、高校を卒業するまで、あの体育館1階の公衆電話は使わなかった。

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