花束を持ったおばあさん

花束を持ったおばあさん 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

もうこれは去年の10月くらいの話なんだけど、深夜のバイトの帰り、俺は早く帰りたくていつもは通らない田んぼ道を使って家に帰ることにしたんだ。

その道は左右が田んぼに囲まれてる細い道。
うちの方はめっちゃ田舎だから電灯なんかなくて真っ暗なんだ。
俺はその道を車で走ってた。
けっこうなスピードだったと思う。

そんなに道幅がないから対向車が来ないといいなぁとか考えて走ってたら、いきなり向かって道の左側に、手を後ろ手に組んで、その手には花束を持ったおばあさんがいきなり視界に飛び込んできた。
さっきも行ったけど、俺かなりのスピード出してたんだ。

でもそのおばあさんの格好、服の色、顔とかが鮮明に頭に入ってくる。
俺はびっくりして急ブレーキ踏んで、ルームミラーとサイドミラーで後方を確認したけどもう何も見えなかった。
ひいちゃったのかな?とか思ったけど車に何も接触した感じはしなかった。

だから気味悪くてすぐ家に帰っちゃったんだ。
後日、その話をその田んぼ道の近くに住んでいる俺のおじさんに話してみた。

すると、どうやらその道の近くに痴呆気味のおばあさんが住んでるらしく、たまに畑とかから作物を勝手に取っていったりする事があるんだって。

これで俺は納得したわけよ。
確かにその時は秋桜が旬の季節、人目のつかない深夜、後ろ手に花束は少しでもパクッた花束を隠したかったから。
人騒がせなおばあさんだなぁって事でこの件は解決した、はずだったんだけど…

つい最近おじさんから聞いた話なんだけど、そのおばあさん、一昨年交通事故で亡くなってるんだって。
しかも俺が見たあの場所で。
自分で自分に花束を手向けたかったのかな?今だに鮮明に思い出すよ…。
長文すみませんでした。

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