おはじき

おはじき 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

夏になる前のある日、うちの家の玄関ドア前にガラスのおはじきが置いてあった。
3階建てのハイツで、小さな子供がいる世帯も、また、小さな子供を連れて遊びに来るような世帯もいない。
それでも小さな子供を連れたお客さんが来て、誰かが落として行ったのかな?と思って、捨てるのもなんだし、しばらくそのままにしておいたけど、数日経っても、そこにある。

ある日、それをほうきで外の芝生のあるところに掃いた。
なんとなく自分の家のゴミ箱に捨てるのも嫌だったので。
そんなことがあったのも忘れかけていた頃、また、うちの玄関ドア前に、おはじきがあった。
なんだかおかしいと思って、今度は、すぐさま足で蹴ってどけた。
しばらくして私は外科の手術で入院して、退院した半月後に、父は肺炎で入院した。
1週間ぐらいで退院できるだろうと言われていたのに、その4日後に亡くなった。
私は嫌な感じがしたから、あのおはじきをどけたんだけど、本当は、「どけない方がよかったのかな?」と今でも思う。

そのおはじきを、今日出掛けた帰りに、お隣の玄関ドア前で、また見つけてしまった。
高齢のおばあちゃんと息子さん2人が暮らしていて、よく私にも、おかずや炊き込みご飯をおすそ分けしてくれる。

考えすぎなだけかも知れないけれど、よくないものなら、「どけてあげたいなぁ」と、気になっている。

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