夢の中

夢の中 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

俺はイイ年したおっさんだ。

昨夜こんな夢を見た、夢の中で俺は体が子供のサイズだった。
知らないビル街でサイレンが、聞いたことないけど空襲警報みたいな感じで周りに響き渡っていた。
何かから逃げるように周りのたくさんの人達が一つの方向に逃げていく。
俺はみんなが何から逃げているのか見極めるつもりで傍に立っていたビルの壁に張り付いておおぜいの人が逃げるのをやり過ごしていた。

地響きが少しづつ近づいてきて、傍に建っている5階くらいのビルの上から不意に恐竜みたいな明らかに肉食だとわかる怪獣の頭が覗いた。
俺は日ごろ勇敢でも運動神経が抜群なわけでもなんでもない普通のオッサンだけど、相手があんだけ大きければ身体が子供の俺なら建物の影を伝って隠れて逃げたら絶対逃げおおせると思った。
通りをみんなが悲鳴を上げながら固まって逃げているのを見て怪獣にこっちにおいでと誘っているような物じゃないのか?とすごく冷静に見ていた。
でも怖い、冷や汗がわきの下を流れている、ビルの陰、怪獣の目が見てない方向にそっと逃げた、怪獣は人の流れを追ってだんだん地響きが遠くなっていく。
助かった、うまくやったという安堵感でほっとしていた。

ただ、夢の中でなんとなくこれは夢だとわかってきた、ゲームの一面クリヤーみたいだなと思った
目が覚める一瞬に耳元で男の押し殺した声が

「次はコイツが行くからな・・・」

と囁いた。
そいつは夢の中、うちのアパートのドアから入ってきた。
身体全体が黄色い粘土みたいにひび割れた皮膚からたくさん血をにじませて、無表情な穴みたいな目で俺をじっと見ている、動きもすごく速いし、すごく尖った牙をもっていた。
とても逃げられないもう駄目だと思った。
おしっこ漏れそうになって目が覚めて、体がぶるぶる震えていた、心臓もすごい勢いで動いている。
夢でよかったと本気で思った。

今までこんなに疲れて眠りから覚めたことはない、二三日続いたら身が持たない。
敵が等身大だと恐怖も等身大になるんだろうか、今夜眠るのがとても怖い・・・・。

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