カウンター

カウンター 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

最近よくやるイタズラ。
俺の自宅兼事務所の電話には、マンションなどのセールスの電話が掛かってきていた。
それもリストに載ってしまったせいか、一日に10回以上なんてこともざらにあった。
自宅で仕事をしているため、これでは仕事にならない。

電話が掛かってきて、しつこく食い下がる業者を断る。
そして、その5分後に同じ会社の別の人間から
「今なら××お安くなってますよ」
なんてついさっき聞いたばかりのマニュアルどおりのセールストークをかまされると、さすがにただ断るだけでは生ぬるいと思ってしまうわけで、ちょっとしたイタズラをしてやろうと思い立った。

まず『呪怨』のDVDを借りてきて音だけ録音する。
「…ア…ク…アァあアア…あァあア亜あアア」てあの喉にタンが絡まったような声を録音。

そして掛かってきた電話がいつもの低能マニュアル暗唱業者からだと確認すると、受話器の口の部分に呪怨ボイスをエンドレスで流し続ける。
あとは受話器の音声を付属のイヤホンで抜いて、業者の反応を楽しむ。
こちらの反応がないことに気付き、マニュアル暗唱をやめた業者が「○○さーん、もしもし?」なんてこっちの反応をうかがうと同時に聞こえる、あの気味の悪い声。
ヒッて短い悲鳴を上げて電話を切る女業者や、野太い声の落ち着いた説明から急にあせって受話器を置く業者、さまざまな反応が楽しめた。
さすがに毎日はできないが、ときどきこんな風にして業者と遊んでいると、掛かってくる電話の本数はだいぶ減った。

そして昨日、飯でも食おうかと思っているところに業者から電話、久しぶりに呪怨爆弾をセット。
そのまま便所に行ってコーヒー淹れて仕事部屋に戻ってくる。机の上の電話はまだ切れてない。
意外な気がした俺は「気付かずに説明続けてたら笑えるな」と思ってイヤホンを取り付けて耳に装着した。

「…ア…ク…アァあアア…あァあア亜あアア」

聞こえてきたのはあの呪怨ボイスだった。
俺は受話器を叩きつけ、電話のジャックを引き抜いた。

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