河童池のたたり

河童池のたたり 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

ここの駐車場は結構広いほうなんですが、昔はもうちょっと狭かったんです。
15年程前に拡張したんですが、(グリコ森永事件の時にはまだあったと思う。)その拡張した土地、そこに何があったか?…と言うと小さな池があったんです。

その池は、近所の子供達(私を含めて)にこう呼ばれていました。

「河童池」と……

その池が、どんな池だったかを説明しますと、楕円形で、大きさは25mプールの半分ぐらい。
真ん中に橋がかかっており、そして小さな「お社」がまつってありました。
(この辺かなり記憶があいまいです。ちょっとの違いは許してください。)

その池には、いろんな噂がありました。
名前の通り、数百年前から『河童』が住んでる…だとか、
火の玉が浮いてた…とか。
そして、『幽霊』を見た……という噂もありました。

昔は、その池の南側一面に田んぼが広がっており、そこは、私たち子供にとって絶好の遊び場でした。
そこで遊んでいると河童池が遠くに見えちゃうんですが、その姿は本当に不気味だったんです。
なんていうか、そこの空気は「澱んでいる」ように私たちには映りました。
いろんな噂もあり、この池には子供はホントに近づきませんでした。

先程、私は池の概観を書きましたが、何でそんな事を知っているのか?、
というと、実は、一度だけ行った事があるんです。
その…河童池に……。

池は、本当に不気味でした。
よく水辺に生えているヌルリとした下草が、かなり広く周りに生い茂っており、池のほとりには柳が生えていました。
そして他にも、大きめの木が何本か立っており、池にはハス?のような浮草が幾つも漂っていました。
そして、直接行って初めて気付いたんですが、お社には「お地蔵さん」がありました。

「池」と「柳」と「お社」、そして「お地蔵さん」…。
これだけ揃っていれば子供を脅すには充分でしょう。

私はただ、ただ怖くて、友達に「帰ろう、帰ろう。」と何度も言っていました。
上に挙げた要素だけでなく、なんか、こう…その場はとても暗かったんです。

結局その場には一時間ぐらいたたずんでいました。
しかし、期待した?河童はついに見られず、別に何も起こらぬまま、私達は家へと帰りました。
それから数ヵ月後でしょうか、私は何も気にする事もなく普通に生活を送っていたんですが、ある日事件が起こりました。

先に述べた池の南側の田んぼで遊んでた時のことです。
私はふと河童池の方で何かが動いたような気がしました。
目を凝らしてよ~く見てみると、何かが光っています。

「はて?。あんな所に何か光るモノなんてあったっけ?」

私は、数ヶ月前に行った記憶を思い出して、そして気付きました。
その光るモノが見える位置、そこには「お地蔵さん」があったことを…。
そう、お地蔵さんの眼、それが光っていたんです。
(そこから池は少し遠く、はっきり見えた訳ではないんですが…)

私達は全員凍りつきました。そして気が付いたら皆、走って逃げていたんです。
この事件は私達の間でちょっとした騒ぎになり、いろんな話が飛び交っていました。

「やっぱり幽霊がいるんだ」とか、「いや、見間違いだったんじゃないか?」と。

しかし、やはり時間がたつと、「お地蔵さん」の目が光るなどという漫画みたいな出来事が本当に起こったのかどうか、最初に見つけた私までが、疑わしく思えていました。

そして私の親父の一言が皆の心を静めた、というか、見間違い説に力を与えたんです。

その話はどういうものかというと、(以下親父談)

「あの池は、俗に言う『爆弾池』で、アメリカ軍が落とした爆弾の爆発跡に水が溜まって出来たんだ。
だから、お前達が噂しているように、『数百年前から河童が住んでた』なんかあり得ないし、それにまつわる噂もみ~んな嘘だ!」
と。

その話を皆にすると、「あぁ、見間違いだったのか。」と、皆も納得したようでした。
そして、やはりまた普通に時は過ぎていき、その池自体も埋め立てられて無くなってしまいました。

私、昨日久しぶりに実家に帰ってきたんです。
親父もお袋も元気そうで、しばらくぶりの息子相手に世間話を延々と聞かせてくれました。
(これを聞くのも息子の務め?ですよね。)

その時、親父が興味深い話をしてくれました。
その話は、駅前の散髪屋の主人に聞いたそうです。
(その散髪屋はパチンコ屋のすぐ近くです。)

その散髪屋の主人が言うには、最近、パチンコ屋の2階に寮を出来た。
そこに常時何人かが住んでいる。
しかし、寮に住まわせた従業員のうち何人かがすぐに辞めていってしまう…と。
家まで貸しているのに彼らはなんで辞めてしまうのか?と、不思議に思った店長は、ある日一つの共通項に気付きます。

その辞めた従業員達はみんな、同じ部屋に住んでいたのです。

このご時世ですから、寮に入りたいと言って来る人はとても多く、その部屋にいた人が辞めれば、(他の部屋は常に満室状態なので、)次の人もやはりその部屋に入る。
そして、やっぱり一ヶ月程で辞めてしまう。
同じ部屋の人が辞める、ということは店の待遇が悪い、とかの理由じゃ無いんじゃないか?
これはやっぱり幽霊なんだろうか…と。

私の親父も、その散髪屋の主人も、二人とも地元出身でもうこの土地に60年は住んでいます。
だから二人とも『河童池』とそれにいろんな噂があったことを知っていました。
しかしパチ屋の店長は新任で、その池の存在を知らないらしいのです。
私の親父達は二人ともその噂自体を信じていないのはいないのですが、しかし、やはり頭の中を不安がよぎります。

「河童池のたたり…なのか?」

私は、親父に言いました。

「河童池が迷信と言ったのは親父じゃないか。池が出来たいきさつまで知っているのに、何故そんな話を信じるのか?。」

と。
しかし親父はこう言いました。

「あの池が爆弾池なのは本当だ。しかし、俺は、何故あの池に『お社があるのか?』については本当は知らないんだ。」

爆弾が落ちた当時、池があった場所は田んぼであり、その爆弾の爆発では人は死んでないらしいのです。
つまり、あの『お社』は爆弾の犠牲者のために建てた…のではなく、その後で、「何か」、のために建てられたのだ…、、、と。
駅前の一等地のあの場所で、何故、戦後50年近くもつぶされずに、そして、その池を『避ける』ように開発が進んだのか?
それについては俺は知らないと、、、。

なんか、私は自分の町の「裏?」の歴史を知ったみたいですごく怖くなりました。
そして、同時に、私の頭の中にはあの時の『赤い光』がよみがえりました…。
そして、20年近く経った今、私は確信を持っています。
あぁ、見間違いではなかったんじゃないか…、と。

大阪、河内の近鉄沿線に「T安」という駅があります。
これは、その周辺に住んでいた私の周りで起こった不思議な出来事でした。

今でも、そのパチ屋はありますよ。
そして、元気に営業してるみたいです。
結構人気があるみたいで、まっ、幽霊と業績とはあまり関係ないみたいですね(w
では失礼いたします。
長文でごめんね。

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