ねーねー、おにいさん

ねーねー、おにいさん 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

昨日の夜の事。
明大前駅で電車待ちをしていた。

この時、電車がとても遅れていた。
ボケーッとスマホをいじっていたら、突然肩を叩かれた。
なんだ知り合いか?と思い振り返ると、見知らぬ中年の女性がいた。
女性はごにょごにょ何かを言っている。どうやら泥酔している様子。
同伴らしき年配の男性に謝られた。
軽く会釈して、スマホに目を戻す。
背後から呂律の回らない声がする。先ほどの女性だろう。

「ねーねー、おにいさん、おにいさん」

なんだ?俺のことか?
酔っ払いの相手は面倒だから無視を決め込む。

「やめなさい」

と男性のたしなめる声。女性の声が遠ざかる。
男性が俺から引き離してくれているのだろうか。

「えー、でも、あのおにいさん、あんなののっけ・・・」
「やめなさい」

と男性の声が遮った。

のっけて?乗っけて?頭や肩を払ってみたが、なんともない。
この酔っ払いめ。

家に帰り着き、しばらくしてから思った。
俺が乗っけていたものが、彼女にしか知覚できないものだったら嫌だな、と。

それに、電車が遅れていた原因が明大前駅での人身事故だったことや、俺が今体調を崩し熱を出している事と無関係ならいいな、と。

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