では
読みたくない人はスルーでお願いします。
死なば草
おれの友達、っていうのがN県I市の出身なんだが、そこで15年近く前に実際に起こった事故。
その町ではかなりでかい方の会社の研究棟で、昔火災が起きた。
その日は日曜日で、職員の人は全然いなかったのだけど、ちょうどその日一人の職員が植物の研究の為、地下の実験室にこもっていた。
その男の名前をシナバさんといい、その地方でも珍しい名前だった。
男は地下に居たため、火災に気付くのが遅れ、地上に出るに出れなかったそうだ。
また運が悪く、その火災は建物全部を焼き尽くすまで勢いが弱まることはなかった。
建物は崩れ、地下も埋まってしまっていた。
その建物の瓦礫を除くのは困難なもので、男の遺体を見つけるまでに1週間はかかってしまった。
男の遺体は当初胴体だけが見つかった。
残りの頭部、両手、両足はどこか瓦礫に挟まれて切れてさまったのだろうと捜索は続行された。
しかし妙なことにいくら捜しても残りの身体のパーツが見つからない。
また、その頃から立て続けに変なことが起こった。
男の血で赤黒く染まった研究室の地面から、真っ赤な草が生えてきたのだ。
そしてその草に触れた人の身に相次いで腕、脚、首のいずれかに傷、場合によっては重傷を負うものが出てきた。
関係者は、『これはシナバさんの祟りだ』と、その草をシナバ草と呼んだ。
また、シナバさんの祟りを鎮めようと、その草の真ん中に地蔵を置いた。
地蔵を置いた次の日から、その草に触れて傷を負う者はいなくなった。
が、日に日に地蔵の首、両腕、両足に傷が入っていき、ついには地蔵は胴体だけになってしまった。
<解説>
しなばそう
逆から読むと
うそばなし