ママチャリの鍵

ママチャリの鍵 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

大学生の頃に寝坊をして、10時から講義が始まるのに9時半に起きた。
30分だと直ぐに部屋を出て自転車を全速力で漕げばギリギリ間に合う位で、大慌てでアパートの階段を下りてママチャリで走り出した。

ちょっと走った所で直ぐ信号に捕まって、テンパリながら時計を確認していたんだけれど、そこで家の鍵をかけ忘れていることに気づいた。

戻って鍵を掛けて遅刻するか、部屋の無事を信じてそのまま大学に向かうか悩んだのだけれど、そこで部屋の鍵が付いたリングにママチャリの鍵も付いていることに気づいた。

自分のママチャリの錠はよくある備え付けの半円状の物で、解錠しないことには絶対後輪は回らないように出来ている。
あれ、と思って後輪を見るとしっかり施錠されていて、自転車を前後に動かしても錠のせいでタイヤが回らなかった。

その日からこういうことがたまにあって、彼女の家に呼ばれた時に、扉を開けて中に入ってから鍵とチェーンが掛かっていることに気づいて、彼女に不気味がられたりした。
意識してやろうとしても絶対に出来なくて、何気なく開いてると思って扉を開けたりする時にこういうことが起こる。

まかり間違って犯罪みたいなことだけはしないように気をつけている。

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