私の小学校からの友達、A子がいます。
A子は小学校のころは仲良かったんだけど、中学に入ってからあまり話していません。
A子と私の友達グループが違うのもあるんだけど、A子は私のことが気に入らないみたいだったんです。
小学の頃、大人しかった私をかまっていたのがA子でしたから、中学に入ってからA子以外の友達を作っていった私が何か不満だったのかもしれません。
特に霊感のある私がその手の話を友達としているのが気に入らないみたいでした。
ある日、男の子達が学校の近くにある古い家(廃墟)に肝試しにいった話をしていました。
私は通学路の近くにあるあの家は何か嫌な感じがしてたので、友達とあの家には行かないほうがいいよ~みたいな話をしていました。
そしたらA子が突然話に割り込んできて、
「幽霊なんているわけ無いじゃん、馬鹿じゃないの?!」
って怒るんです。
私はA子が怒る理由がなんとなく解ってたので、
「そうだよね、いるわけないよね・・・」
といってA子を宥めていました。
なんとなく私もA子が怒ったまんまなのが納得いかなかったので、放課後A子に謝ろうと思いました。
A子は私が話し掛けても怒っている感じはなかったんだけど、私だけが幽霊が見えるっていうのが変だよ。って言われました。
丁度その頃、「ほんとうにあった呪いのビデオ」というのがクラスで噂になっていたので(レンタルビデオで借りれる奴ですよ)
A子はそれのビデオの影響を受けてか、私に「廃墟の映像をとってきてあげるよ」と。
A子があの廃墟にいくのはどうしても気が進まなかったんだけど、幽霊がでるから行くのはやめて、なんて言ったら、まだそんなこと言うの?って言われそうだから止めました。
結局、A子はあの廃墟に行ったみたいで、翌日私はA子からビデオテープを渡されました。
「何も出なかったよ。幽霊なんていないんだって」
家に帰ってからビデオ見てみたんです。
ビデオにはあの廃屋の中をA子の視点で見てまわる様子がしばらく映されていました。
A子が廃屋の和室っぽい部屋に入ったとき、A子のカメラ視点がチラチラと何度も、奥の壁にかかる掛け軸に行きました。
A子は明らかに掛け軸が気になってたみたいなんです。
最初の何度かは掛け軸は何も映ってません。
でも何度か掛け軸の周りを映すうちに、私が時々感じる変な感じが襲ってきました。
寒くも無いのに背筋がゾクゾクする感じ。
A子、ヤバイよ、逃げて。
A子のカメラ視点はその部屋から出ようとしていました。
A子が最後に何度か掛け軸を写します。
掛け軸の後ろに何か見えました・・・
白い手みたいなものが、手、腕、肩と掛け軸から、誰かが出てきている・・・
そこでA子のカメラ視点は廊下に移りました。
A子本人は何も見えてなかったみたいなんだけど、なんとなく不安になっているのか、気配を感じたのか、早足で廊下を歩いているようです。
自分の後ろが気になるのか、何度もカメラ視点が後ろを振り向きます。
家の玄関を出て、最後に玄関を振り返った時です・・・
手に鉈みたいなものを持って、般若の面を被った人が、A子をじっと見つめてたんです。
思わず悲鳴を上げてしまいました。
A子のビデオはそこで切れました。
A子は最後まで気付いていなかったんでしょうか・・
翌日、ビデオを見たよってA子に言いました。
ただそれだけを言いました。何かが映っていたか、それはA子にも聞かれなかったし、私も何も言いませんでした。
でもA子の様子は明らかにおかしかったのを覚えてます。
目が虚ろで友達との会話にも何かぼ~っとして受け答えしてました。
何か胸騒ぎを覚えました。
家に帰ってから夕食を食べて部屋に上がったとき、部屋から物音がしました。
何の音かわかりました。あのビデオの音です。
部屋に入るとビデオの電源が入っていて、あのビデオが流れているようでした。
でも何か変でした。
A子がとったビデオは昼の明るい時に廃屋に入っている様子が映っていたんですが、そのビデオは夜、廃屋に入っている様子が映っています。
え、何だろ、これ・・・
私はビデオの取り出しボタンを押すんですがビデオは一向に出てきません。
月明かりが差し込む中でA子が廃屋を歩く視点で映像が続きます。
例の掛け軸のある部屋にたどり着いたようです。
ずっと掛け軸を写しています。
掛け軸から手が出て、足が出て・・・
面を被った何かが鉈を持ってA子に近づいてきました。
A子は気付いているのか、嫌な予感がしたのか、早足で廊下を外に向かって逃げてるようです。
段々足が速くなっているようで、出口に近づくころ、
「あぁぁぁぁ!」と叫び声を上げているA子。
あと少しで廃屋を出られる、がんばって!
その時ビデオにドスッっと鈍い音が入りました。
ビデオの視点はグルグル回って、ガッという音の後に、画面に横に映る廃屋が入ってきました。
鉈を持った般若の面を被った何かと一緒に。
そこで映像が終わりました。
ビデオ右下の時間は今の時間になっていました。
今A子が殺された。私は急いで部屋をでて廃屋に行こうと思いました。
A子が死んだのか、それとも何かのイタズラ、脅しなのか。
部屋を出ようとドアノブを手にしたとき。
私の力じゃなく、そとからドアが開きました。
ドアの前に誰かがいます。
なんとなく頭が重くて、ゆっくりとその誰かを足元から確認するように見上げました。
般若の面を取るA子。
A子はニコニコ笑いながら、
「幽霊なんていなかったよ」
その時、私の頭がなんで重くなったのか解りました。
鉈が頭にささっていました。