私は、海外とか綺麗なリゾートホテルはあまり好きじゃなくて、趣のある落ち着いた温泉宿が好きなんだ。
だから嫁と旅行に行く時は、毎回無理を言って、温泉宿を取ってもらっている。
その日もなかなかの旅館で、私は満足していました。
晩御飯も食べて、温泉にも入って、一杯飲んだところでお互い眠くなってきたので、寝ることにしました。
一応、旅館なので布団は二枚敷いてありましたが、私と嫁は同じ布団で寝ました。
しばらくしてふと目が覚めて・・・
私は大抵寝る時は、嫁に腕枕をしてあげていて、
夜中に目が覚めると、腕が痺れていることがよくあります。
その日も腕が痺れていたので、そっと腕を抜きました。
その時・・・
私たちが使っていない布団に、髪の長い女が横たわっていました。
あまりの出来事に、私は金縛りに遭ったかのように動けず、何度か嫁を起こそうと試みましたが、やはり体は動かず声も出ないので無理でした。
女から目を離したら駄目な気がして、私はとにかく女を注視していました。
すると、少しずつ女がこちらを向いているのです。
反対側を向いて横たわっていたのが、ゆ~っくりと、だんだんだんだん
こちらを向いて、私の心臓は今まで経験したことのない、バクンバクンと聞こえるくらいの大きな音を立てていました。
そして完全にこちらを向いた時、私は恐怖のあまり、泣き叫びたくなりました。
もう一つの布団に横たわっていたのは、私の嫁でした。
あれ以来、私は旅館に泊まることが出来なくなってしまいました。
<解説>
それでは一緒の布団で腕枕をして寝ていたのは一体誰なのか・・・