私の入っていたサークルは、男女合わせて10人いました。
雪も降ってとても寒い冬のこと、帰り支度をしていると突然部員のSが大声をあげたのです。
どうしたのか聞いてみると
「俺ついに小さいおじさん見ちゃったよ~!」
というのでふざけているのかと思いました。
しかし部屋にいた部員のMが
「驚かせないでよ~私なんてこの部屋だけで5、6回見てるっつーの。」
というのです。
恐る恐る私は見たことがないと言うと部屋にいた5人が揃ってマジで見たことないの?という顔をしました。
まさかの自分が責められるという展開に驚きつつも小さなおじさんが実在することがなぜか嬉しかったのです。
一番見た回数の多いMがいうには小さなおじさんは何人もいて、大体の大きさがシャーペンほどの小人だといいます。
ジャージ姿の時もあれば、スーツ姿もあり、一番面白かったのがフリフリのアイドルのような服装の時もあったらしいのです。
髪型や顔はそれぞれ違うし、見つかってものんびり隠れなおす者もいれば慌てて逃げて車に轢かれそうになった者もいるということでした。
私も見つけてみたいというと小さなおじさんは、あまり良いものではないと部員Kは言います。
Kの祖母は、見つけた小さなおじさんにクッキーをあげたらしいのです。
夜中、Kの祖母が眠る布団の中に何やら動くものがいてめくってみたら小さなおじさんが祖母の腹を縫い針で刺そうとしていたのです。
見つかった瞬間小さなおじさんは走って逃げ、それから姿を見なくなったそうだとKは語りました。
小さなおじさんは、見つけても見なかったことにした方が良いそうです。
ちなみに私のサークルで集計したところ、10人中7人が小さなおじさんを見たことがあるそうです。