こんにちは。
今日は先輩…っていうか、課長から聞けたお話です。
課長がまだ僕と同じくらいの歳の頃に、あるテナントビルさんから補修依頼をもらいました。
そのビルは損保会社さんがビルオーナーのテナントビルで、12階建てです。
今でもありますが、ミラーガラスに黒いサッシの洒落た感じのビルです。
そのビルの8階に入居されていた、ある企業の支店長さんからの依頼だったそうです。
その依頼とは「非常階段の扉を封鎖して欲しい」でした。
課長は「無理です」と断ったそうです。
無理もありません、管理会社が非常階段を封鎖したなんて言ったら、消防からものすごく怒られます。
だってその階から避難出来ないですもんね。
でも、その支店長さんは「どうしても…ダメですか?」と食い下がるんだそうです。
課長が困っていると支店長さんは「じゃ、今夜来て下さい」と言ったそうです。
その夜課長がその支店長さんを尋ねると、支店長さんをはじめ男性社員ばかり5人も残って待っていたらしいです。
ただならぬ雰囲気に圧倒されながら課長が話を切り出すと、支店長さんは例の「非常階段に行きましょう」と言い課長を連れていきました…
男性社員達もゾロゾロと後を着いて来て異様だったそうです。
そこで聞いた話はこうでした…
「この階段にいると飛び降りたくなる」
皆さんがくちを揃えそういうんだそうです。
「今に死人が出そうだから怖いんです」と。
課長も下を見てみると、廻りのオフィスのキラキラの夜景に反して、真下は真っ暗で吸い込まれそうだったそうです。
「あのまま飛び降りても、無事っぽい感じがした」と課長は言ってました。
でも、扉封鎖は無理で柵を付ける…って事で納得してもらったそうです。
でも、その階だけなんだそうです。
「下見ると飛び降りたくなる衝動」に駆られるのって。
だから、今もビルはありますが、8階の非常階段にだけ高い柵が付いています。
みなさんも機会があったらビルを見上げてみて下さい。
中途半端に柵の付いたビルがあるかもしれません。
その階には「飛び降りたい衝動」が蠢いてるのかも知れません。