2年位前の実話。
当時は金が無くてリゾートバイトで、ある所に住み込みで働きに行ったんだ
けど、そこの宿泊施設がもうなんていうか陰鬱。
霊感がないわけじゃないけど例え無くても出そうな雰囲気の所だった。
で、案の定。
部屋に入った途端に白い女が出現。
夜に扉のノック音、枕元でミシミシ鳴る畳、便所の入り口に後ろ向きにボーっと突っ立つチェック柄のYシャツ男に大量の便所コオロギと、とにかく劣悪な環境だった。
そんなこともあって気の疲れから来る勘違いかも知れないと思ったんだが、どうやら他の住人も見ていたようだ。
働き初めて3週間くらいしてかな。
俺がやめるきっかけになった出来事が起きた。
夜、同僚達と他愛もない話をしていたら、膝まで髪を伸ばした全身びしょ濡れの女が現れたんだ。
皮膚がぶくぶくで口元が笑ってんの。
優しい笑顔じゃなくて、悪いこと考えてそうな嫌な口元。
一発でわかったよ、
あ、こいつアカン奴や、って。
そんなこと考えてたら動きが止まって振り向き始めた。
やべって目を逸らすも時すでに遅し。
その時点では見えなくなってたんだが、一時だったんだな。
談笑を終えた後部屋に戻ろうとしたら後ろから嫌な感じが。
気にしないようその日は直ぐに寝たんだが、出てきた。
初めて見たときは口元しか視えなかったんだけど、夢に入ってきたこの女の顔は手と同じでぐじゃぐじゃ、目は空洞でやっぱり笑ってやがった。
徐々に近づいてきて
「来んな!来んなってばおぃぃぃぃぃ!」
て思うも無駄。
ゆっくり顔が近づいて来る。
もう何も考えることができず胴あたりまで近づいて腕が伸びたときいきなり小さな女の子2人組が現れて
女の顔に拳と蹴りを喰らわした。
女、横に吹っ飛ぶ。
その後も殴る蹴るの追い討ちを仕掛ける2人組。
「女の子?!2人!?」
「..守護霊様だとしても何で小さい女の子?」
開いた口が塞がらず、正直訳が判らなかった。
が、よくよく見ると俺がかなり大切にしていた可動フィギュアだった。
その後、一人は
「触るな!」
と一喝し、もう一人は俺に微笑んでくれた。
気がついたら朝になってて、数日後バイトは辞めました。
自分で書いててなんだが創作臭がするよ。
量産品なのに付喪神になるのかとも思うし。
仮に量産品が付喪神になるんだとしても早過ぎる。
なんらかのモノがイメージし易い形で助けてくれたのか。
そもそもが勘違いなのか。
まぁ、よくは知らないけど、なんにせよこれからも大切にしていこうと思う。
因みにそこの近くにはスポットがあったご様子。