プレゼント交換

プレゼント交換 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

私♂が小学五年生のときのほんのり体験です。
実話なので自分的にはホントに怖かった・・・

当時、私の学校では学年が上がる度にクラス換えがあり、終業式の前日などに「お別れ会」と称しての簡単なパーティー形式のHRがありました。
そこでは文集を配ったり、お菓子やジュースが出されたり、友達との記念にとお互いにプレゼントを持ち寄る「プレゼント交換」なるものが
あったのですが、そのときの出来事。
プレゼント交換の方法は「イス取りゲーム」の要領で、机を輪にしてその上に一人一人のプレゼントを置き、音楽に合わせてその周りをぐるぐる回り、音楽がストップしたときに目の前にあるものを受け取るというのが恒例でした。

私が「お別れ会」の前日、自分のプレゼント(何だったかは忘れてしまいましたが)を用意し、明日の学校の準備を済ませた夜、夕飯を食べる前後ぐらいだったと思います。

不意に、明日自分が「誰のプレゼントを手にする」のかが「わかってしまった」のです。

自分でも理解しがたい感覚でした。その相手とは、一度も話をした記憶はなく、おとなしいというかとても暗い感じの女の子で、痩せていて色白で髪が黒々としていたことを覚えています。
(正直、可愛いタイプの娘ではなく、異性としても友達としてもその人を意識したことは皆無)
ですから私の希望や錯覚などでもなく、席順や音楽もランダムなので予想のつくはずもなく、確率でいえば数%なのでしょうが、そのことは「明日、あの娘のプレゼントをもらうかも・・・」ではなくはっきりと「明日、間違いなくあの娘のプレゼントを手にしてしまう。」でした。

その「わかってしまった」感覚はその夜、私の頭から離れませんでした。
他のことを考えようとしてもそれはどうしても無理で、テレビや漫画を目にしても視点があってないような感じです。
強制的にそのことだけを考えさせられているような気分になりました。
急に怖くなり、布団に入りますが子供のくせに明け方まで眠ることができませんでした。

いよいよ朝がやってきました。
睡眠不足の寝ぼけた感じ、夢であってくれればいいのにと思いつつ現実感はぬぐえないまま学校に登校する時間です。
ひとり歩きながら、昨日の恐怖感は増していきました。
幽霊でもない現実の一人の女の子を心底「怖い」と思いました。

何かの間違いであってほしいと願いつつ、おそるおそる教室に入りましたがまだ来ていない様子。
いそいで自分の席へ着きました。
黒板を前にして左前方面が私の席。
その娘は中央より少し右後方の席です。
私は友達と会話もせず、(後ろを見たくなかったので)始業チャイムをまっていました。

やがてその日の行事が始まりました。もうすでにその娘も登校しているはずですが、私はどうしてもその方向に目をやることができませんでした。
意識を向けていたせいかも知れませんが、背中に視線、なんとも言えない空気を感じていました。

やがて「お別れ会」の準備にとりかかる時間、全員が起立して、机の移動などをしているとき一瞬、全体を見渡したときです。
たしかにその娘はこちらを見ています。
そう見えたといえばそうかも知れません。
ただもう怖くて確かめるどころではありません。
そしていよいよ最後の「プレゼント交換」のときです。
嘘であって欲しい。怖い。気持ち悪い。

音楽が鳴り終わって立ち止まり、私の目の前にあったものは・・・やはりその娘の名前が書かれた箱。
みんなその場で開けて比べっこなどしていましたが、私は呆然として相変わらず下を向いたままそれを開ける勇気もなく、そのままカバンにしまうと学校が終わるまでじっとしていました。

家に帰っておそるおそる開けてみるとそれは赤い大きな花の絵が描かれた小さな花瓶と花柄のハンカチでした。
粗末にしたら何か良くないことが起こりそうな気がして母に頼んでどこかにしまってもらいましたが、それがどこにいったのか今ではもうわかりません。

実はそれっきりその娘がどうなったのかも記憶にありません。
クラスが変わったから会わなかったのか、どこかに転校してしまったのか、私も早く忘れたくて自分から探そうなどとは思いませんでしたが、二度と会うことはありませんでした。

人に話してもつまらない話かもしれません。
ただ何故か「わかってしまった」不思議な感覚は私の人生でこの一度きりです。

よんでくれたひとありがとう。

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