霊能者気取り

霊能者気取り 俺怖 [洒落怖・怖い話 まとめ]

霊能者を気取っちゃって「ここヤバイよ」なんてあれから本当に言えなくなったよ、それが例え冗談だとしてもね。

俺は18で都内のとある寿司屋で板前見習いとして上京したんだ。
その寿司屋ではバイト採用もしていて、俺なんかよりも年上の大学生がいて、みんな結構はじけてた感じだったから、地方から出てきた俺は正直、馴染みづらい部分があったんだ。

しばらくしてAが寿司屋にバイトと言う形で入った。
Aは大学へ通いながらバイトに度々しか来なかったけど、同い年だったって事もあったし、俺もAも地方から越してきたって事もあってすぐ仲良くなった。

話を聞くとアパートがかなり近い(チャリンコで10分くらい)って事が解ってぶことになったんだ。
遊ぶ約束の日、俺は仕事が終わってAM1:00頃に電話でAに連絡してAの家で遊ぶ事になった。

家にお邪魔してもらい飯をご馳走になって、たわいもない話しやら、大学の話、仕事の愚痴などしていた。
だけど、どーにも、Aのアパートは上京してきて間もないからか、部屋が殺風景というか、遊び道具が無い。
ゲームも無ければテレビも無いそんな状況。

さて、話だけしてるのもネタが尽きて『ここは一つ心霊話しと行こうか!』と俺は閃いた。
雑談が一旦終わり、一置きついてから
俺「実はさぁ、なんとなく思うんだけどさぁ。。」
A「え、どうしたの?」
俺「いや、ホント何となくなんだけど、この部屋なんかいるよ?」
A「え?ホント!?それって幽霊とか?」
予想とは裏腹にカナリ食いついてきたA。

俺も言い出しちゃったもんだから、もう話を続けるしかないみたいな感じ。
俺「うん。ここヤバい。特に炊飯ジャーが置いてあるとこ。」
そう言って、台所の方の一角に指差してみた。

A「え~。どうしよ~」
Aは半泣き寸前。
そんな感じで冗談話の怖い話は終わりになった。

そうこうして、俺は自分のアパートに帰った。
Aは最後まで、「勘弁してよ~」とか怖い話の件を心配してた。

それから暫くしてだった。
同じ店で働いてる年配の板前から呼ばれた。
板「おい〇〇」
俺「はい。なんすか?」
板「この前な、Aが近くの横断歩道で同い年くらいの友達みたいなのを手で連れて歩いてたから声かけたんだよ。」
俺「はぁ。。」
板「それが変でよぉ、声掛けるなり俺に『お祓いができる神社はどこにあるかわかりますか?』
って聞いてきたんだよ。

板前の話はさらに続いた。
板前がAから聞いた話によると。
俺が怖い話しをした数日後、Aは同じ大学の友達、数名を家に招き入れて飲み会をやっていたらしい。
夜も更けたからA達は寝ることになったらしいが、その内の一人が痙攣しだした後に、軍服姿の男が現れたと言った内容のもの。

俺はただ驚いてなにも言えなかった。
だってあれ、全部作り話なのにお決まりの。
板「ところでお前、霊感あんのか?」の質問も来たから慌てて、
俺「他のバイトとかに絶対言っちゃダメすよ!Aも可哀想だ」
みんなに色々突っ込まれたくないから言ったがその後、見事に広まってバイト達に『霊感体質君』と俺はしばらくイジられていました。
話し聞いた後にAに電話しようと思って掛けたが出ない。

でも、何かあれば掛けてくるだろうし、もしかしたら、俺が余計な事言ったが為にこんな事になったとAは思っているのかも知れないと思い、電話が掛かって来るのを待ったけど、それから連絡は来なかった。
板前から話を聞いて1週間くらいたった時、Aがバイトに来た。

Aは見た感じなんとも無いようで、俺を見たAは少しビクつきながらも物申したげに歩み寄ってきた。
俺「よっ!A!話し聞いたよ。大変だったんだって?」
A「本当だよ。凄い大変だったんだから;O;」
Aの話しに寄ればその後、飲み会のメンバーを連れて神社に行ったらしい。
痙攣していた大学の友人は結局憑かれてしまっていたらしく、祓って無事に治ったとの事。

軍服姿の霊は俺が指差した場所から出て来たって話を聞いた時は驚いたけど、一応一安心でAの話を聞いていたらAが
A「それにしても〇〇凄いね、霊感あるんだね。あんな体験自分がしちゃうんだもん」と言ってきたから
俺「ごめん。実は作り話しだったんだけど、まさか本当に起こっちゃうとは。。」
とネタばらし。
Aは「酷すぎる」って嘆いてた。

世の中常識じゃ考えられない事を冗談半分に言ったがばっかりに常識じゃ考えられない事が起こったってそんなケースもあるって事を忘れないで欲しい。

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